サザンカ ページ19
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朝ごはんもそこそこに、私は家を出た。
どうやら、宗の友人が泊まりに来るらしい。
散歩に行くと彼に伝えると、
ついでに食材を買ってきて欲しいと頼まれたのだ。
スケッチブックやら何やら背負った私をみて、
『暗くならないうちに帰ってきたまえ』
と釘を刺した。
｢はーい、Mère(お母さん)｣
母親にそう言われたことは無かったけれど、
まるで母親のようだ。
『…………?! ノンッ!僕は君の母親ではない！』
そう叫ぶ彼の声を背に私は駆け出した。
住宅街の中を歩けば、
庭からジャスミンティーの香りが漂う。
その正体はサザンカ
純白のサザンカはフランス語で秋ツバキとも言われる。
大通りに出れば、噴水の近くにもサザンカが咲いていた。
｢決めた、ここにしよう！｣
噴水は何かと人が集まる場所だ
地域の人々が交流できるそんな場所
そこで音楽を奏でたり、
踊ったり、歌ったりする人もいる。
ここを通ると誰かしらいる
噴水を見上げるようにレンガの道に座り込んだ。
両手の親指と人差し指をくっつけてフレームを作り、
どこを描こうか決める。
鉛筆を手に取り、ナイフで先を削った。
削ってでた屑は持ってきたビニール袋の中へ
スケッチブックを開き、5Bの筆を滑らせた。
｢〜♪･･････〜♪｣
てきとうな鼻歌を息と共に吐き、
画用紙にのめり込んでいった。
そういえば、サザンカの花言葉は"永遠の愛"
いいね、私のテーマだ。
人々が行き交う中、私は夢中で描き続けた。
…
……
…………
…………………
【お嬢ちゃん】
はっと気づくと、しゃがれた声のおじさんが居た。
｢Bonjour(こんにちは)｣
【こんにちは、お嬢ちゃん】
ニコニコと微笑みながら、挨拶を返してくれた。
【僕はそこのパン屋のジルさ】
すぐ近くにあるお店を指して、おじさん、
ジルさんが話した。
｢【そうなんですね！ 私は】｣
そう自己紹介をしようとすると
【いいや、お嬢ちゃんと呼ばせてもらうよ】
とふんわり笑った。
【ちょっとあなた、可愛い子に声掛けて何してんのよ】
そのパン屋から出てきた女性がジルさんに話しかけた。
｢【ええっと?】｣
突然の出来事に困惑している私に
【こちらは僕の妻だよ】
とジルさんは言った。
【こんにちは、お嬢ちゃん 私はコレットよ】
ジルさんに話しかけた時とは違い、
コレットさんはふんわりと笑ったのだった。
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蒼也souya(プロフ) - ふわなさん» 感想ありがとうございます。本当に更新してなくてすいません。褒めていただけて嬉しいです！精進していきます…！ (4月5日 18時) (
レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな(プロフ) - コメント失礼します！言葉選びや表現の仕方が綺麗ですごく素敵です！作者様の無理のない頻度での更新お待ちしてます。 (12月13日 20時) (レス) id: 58ec19c369 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 浪越柊羽さん» 感想ありがとうございます！嬉しいです。優しいお言葉に小躍りしてしまいました。頑張りたいと思います！ (8月27日 6時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
浪越柊羽(プロフ) - 今まで数多くの作品を読んできた中で、この作品が一番のお気に入りです！時間も忘れて何度も読み返してしまいます、、！更新が楽しみです、気長に待っていますね…！ (8月21日 18時) (レス) id: f394f39020 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也souya(プロフ) - 星さん» ご感想ありがとうございます！嬉しいです！本当に更新遅くてすいません。本当に申し訳ないです。待っていただけることが何よりもありがたいです！頑張ります！ (2023年3月13日 0時) (レス) id: 34086f5d07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼也(souya) | 作成日時：2021年9月30日 0時
