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慣れない温度 ページ34

昨日のことを思い返した。








マドモワゼルを描かせてもらいながら、


彼の方に少し視線を移した。


パリに来てまだ半年も経っていないからか、


彼は夏バテ気味なのかもしれない。


本人がそう言っている訳では無いけど


さっきから 少し作業をしては考え込み


そうかと思えば


魂が抜けたようにじっと動かないでいる。


「宗...宗!」


と呼んでみても返事をしない。


集中しているのか、この暑さで疲れているのかは分からないけれど


いつもと違うのは分かる。


思い切って 肩を叩いてみる


すると、


『?!! きゅ、急に何だね?!』


やっと気づいたようで、体を揺らした。


「さっきから 上の空というか 魂が抜けてるみたいだけど、大丈夫?夏バテですか?」


と聞けば


『そ、そういう訳ではないのだよ!』


と返された。


『ただ、このところ暑い日が続いて 集中が途切れるのだよ。僕としたことが...』


溜息をつきながら話す彼は


心做しか疲れているように見える。


息抜きでもしたらいいのに...


彼が妥協しない性格だとは分かっているが、


たまには休息も必要だと思う。


そんなことを考えながら


キャンバスにまた向き合うと

「あ」

思い出した。


朝食を食べていた時に


祖母と明日パリの街を巡る約束をしていたんだった。


彼の気晴らしにもなるかもしれない


そう思って、


黙々と針を動かす彼に話しかける。


「あの 宗」


すると、視線をこちらに向けて


『何だね A』


と返した。


「明日、メメールと私で散歩するんだけど」

「宗も一緒にどうかな?」


緊張しているのかもしれない


筆を握り締めながら彼を誘った。


彼は少し考えた様子だったが、


『悪いけれど、完成させなくてはならないものがあるのだよ』

『だから君の誘いには乗れないね』


と言い また作業に戻っていった。

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設定タグ:斎宮宗 , あんスタ , Valkyrie   
作品ジャンル:恋愛
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蒼也souya(プロフ) - 天使ちゃんさん» 天使ちゃんさん、はじめまして。感想ありがとうございます。クロワッサン買う場面はわたくしもお気に入りです!ありがとうございます。続きも楽しんでいただけたら嬉しいです! (2023年3月26日 14時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
天使ちゃん - 初めまして!わたしは、宗先輩推しなんですがクロワッサン好きなんですよ!どうでも良いと思うけど推しが好きな食べ物を買うって言う話最高です!では、続き楽しんできます!! (2023年3月26日 14時) (レス) @page26 id: f37909bd7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼也(souya) | 作成日時:2021年5月6日 2時

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