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惜春 ページ32

『今日はありがとうね』

玄関の扉の前に立つ彼に祖母は言う。


『〈お礼を言うのは宗くんの方だわ〉』

『〈ほら宗くん恥ずかしがってないで〉』

とマドモワゼルが饒舌に話す。

少し咳払いをした後

『素敵な歓迎をしてくれた事に感謝するよ』

と小さな声で言った。



私がシャワーを浴びている間に

祖母と彼とマドモワゼル

3人でたくさん話したようで

喋り慣れていないようだった敬語が外れていた。

代わりに、会話のほとんどがマドモワゼルを通しているけれど。


祖母が席を外している間に、彼に何故さっきまであんなに喋っていたのに 今はマドモワゼルに任せているの? と聞いてみた。

すると、

『君のお祖母様がたとえ僕の芸術を理解してくれたとしても、僕自身を理解してくるとは限らないだろう』

もちろん 君のお祖母様を悪く言っているわけではないけれどね

と彼は零した。


私は今の彼のことしか知らない。

しかも、
出会ってほんの少ししか経っていない。

だから、彼がなぜそんなことを言うのか、

マドモワゼルが喋ることと何の関係があるのかさえも

私には分からなかった。


教えて欲しい


なんて言えるはずなく


「そうかもね」

この返事であっているかも分からないまま
彼に相槌を打った。


辺りは深い青で染まっていた。

所々にあかりが灯る道を

歩き出した彼は振り返り


『A、明日も来るといい』


と言い残して去っていった。

遠くなる彼の背中を見ながら、名残惜しさを感じている。

誰もいない道をただ佇んで見ている私に

『暗いからもう中に入らないと』

と祖母がそっと声を掛けてきた。

「うん」

と小さく返し、家の中へ入ったのだ。

夏のヴェトゥイユ→←古美術な彼女



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設定タグ:斎宮宗 , あんスタ , Valkyrie   
作品ジャンル:恋愛
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蒼也souya(プロフ) - 天使ちゃんさん» 天使ちゃんさん、はじめまして。感想ありがとうございます。クロワッサン買う場面はわたくしもお気に入りです!ありがとうございます。続きも楽しんでいただけたら嬉しいです! (2023年3月26日 14時) (レス) id: 2dcf8a9402 (このIDを非表示/違反報告)
天使ちゃん - 初めまして!わたしは、宗先輩推しなんですがクロワッサン好きなんですよ!どうでも良いと思うけど推しが好きな食べ物を買うって言う話最高です!では、続き楽しんできます!! (2023年3月26日 14時) (レス) @page26 id: f37909bd7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼也(souya) | 作成日時:2021年5月6日 2時

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