熱中症 ページ32
ライブ前日。
この前とは違ってライブ当日は私服だと言うことで、まともな服を調達しに、私は近くのショッピングモールへ来ていた。
友達と出かけるなんてこと自体久しぶりで、思わずソワソワしてしまう。
マネキンと同じ服を一式買って外に出ると、夏はだんだんと本気を出してきていて、ただいるだけでじわじわと汗の出るような気温だった。
そのためか、外に出ている人も少ない。
私は日差しを避けるために日陰に入った。
───そんな中、日の当たる位置で地面に這いつくばっている人の気が知れない。
「おぉ！何だか世界がぐにゃぐにゃ歪んで見えるぞ……！なんだ、なんだ？ﾊｯ霊感が……！」
正直、会いたくなかったのに。
しかし、どう見ても熱中症の症状が出ているであろう人間を放っておいて、後で倒れられたら夢見が悪い。
「あの、日陰に入られたらどうですか」
「……なんだお前か、サトー」
私を見るなり、明らかにガッカリした様子だ。
「倒れますよ」
「この暑さが霊感を刺激する……！」
私の話なんか聞かず、ふらふらしながら一生懸命紙に音符を記していく。
……仕方ない。せめて何か飲み物でも置いておくか。
そう思って、近くの自動販売機にスポドリを買いに行こうとしたその時だった。
ドサッ
驚いて振り返れば、地面に倒れるオレンジ髪。
駆け寄って顔色を見れば、頬は赤くなって呼吸が荒い。
「っ、だから言ったのに……！」
気絶している人間は重い。
どこかでそう聞いたことがあったけれど本当だ。
私は必死に自分よりも少し大きな青年を引きずって木陰へと移した。
.
辺りが薄暗くなってきて、気温が下がり始めた時だった。
「ぅ、うぅん……あれ、ここはどこだ？！まさか宇宙人にアブダクションされて……」
「ませんよ。気が付きました？」
「……またお前か、サトー。で、おれはどうしてここに？」
「ここは公園の木陰ですよ。あなた、熱中症で倒れたのを覚えてないんですか？全く……」
救急車を呼ぼうと思ったが、この人がうわ言で
『病院には、連れていくな……』
なんて言うものだから、木陰に移し、さっきのショッピングモールで氷とスポドリを買って介護をしていたのだ。
病院に嫌な思い出でもあるのだろうか。
「ふぅん、迷惑かけたなっ」
「いえ。……じゃあ、私はこれで」
なんで、帰ろうとする私の服の袖を掴むんですか。月永さん。
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結 - 完結おめでとうございます!とても面白い作品で涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください！ (2021年6月20日 6時) (
レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
美玖 - すっごく面白いです！いい言葉が出ないのでこの気持ちを伝えるのが難しいですが、私はすごく好きなお話です (2021年5月8日 21時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
美夜 - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます！とても面白い作品でした！是非、お二人のその後が読みたいです！ (2019年2月26日 2時) (レス) id: 671397f4b4 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 続きを…書いて欲しいですっ！！！！とても面白かったです！！！ (2019年2月26日 0時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
コユキアメ(プロフ) - この作品見つけたときからすっごく好きです！レオくん推しとしては続きを書いてもらいたいですm(_ _)m (2019年2月25日 8時) (レス) id: f7c062f730 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マヨネーズ | 作成日時：2018年10月8日 17時
