お兄ちゃん ページ24
ふたりで並んで歩くものの、会話の種がない。
それもそうだ。
私たちは今日、というかいまさっき出会ったばかりの他人だ。
どうにか今までの出来事で会話できないものかと頭を使う。
「……兄妹で仲が良いんですね」
『お兄ちゃんへ』と書かれた手帳に、『お兄ちゃんに迎えに来てもらう』という発言。
かなり仲良しなんだろう、というただの推測。
「そ、そうですかね…？
優しくて、かっこよくて自慢のお兄ちゃんなんですよ」
女の子からも人気があって、アイドルもやってるんです、と楽しそうに話す女の子。
それにはぴきりと表情が固まる。
……まさか、夢ノ咲じゃないよね。アイドルは秀越とかにもいるし。
いや、仮にこの子のお兄ちゃんが夢ノ咲のアイドルだからといって私になんの損も得もないのだが。
強いて言うならその人のファンに少し睨まれるくらいだ。
「あの…？大丈夫ですか？」
「……いえ、なんでもないです」
「あ、よかった」
そして女の子は、
兄は自分を大切にしてくれていること、
そんな兄に少しでも返したくて手帳に歌詞を書いてあげようと考えたこと、
を話してくれた。
何時間かかけて作ったので本当に助かりました、と苦笑する。
私が何気なく拾った手帳にそんな想いか込められていたとは。
「〜〜……あ、ここです！お話してたらあっという間でした」
道沿いにあるひとつの家を指さしてにこりと笑う女の子。
そうこう話しているうちにその子の家に着いたらしい。
「本当にありがとうございました。わざわざこんな所まで着いてきて下さって…」
「いえ、絆創膏のお礼なので気にしないでください。……では、これで」
「はい、ありがとうございました」
お互いにこやかに別れを告げる。
これで終わりだと思ったその時、
女の子の家の扉が勢いよく開き、小柄な男の人が飛び出してくる。
「るか…！遅かったな。大丈夫だったか？
……よかった、無事で」
「お兄ちゃん！
大丈夫だったよ、親切な人がここまで送ってくれて……」
2対のエメラルドグリーンが私の方へ向く。
それがやけにゆっくりに見えたのは私だけ。
「お前……」
男の人の目が丸く見開かれる。
こんな偶然、あってもいいのだろうか。
……なんで、いるんですか。
────月永レオ、さん
ーーー
※月永妹捏造
(ビジュアルのみ、あんガルるかちゃん参考)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 787人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
結 - 完結おめでとうございます!とても面白い作品で涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください！ (2021年6月20日 6時) (
レス) id: de81aa094a (このIDを非表示/違反報告)
美玖 - すっごく面白いです！いい言葉が出ないのでこの気持ちを伝えるのが難しいですが、私はすごく好きなお話です (2021年5月8日 21時) (レス) id: 9f95d8689d (このIDを非表示/違反報告)
美夜 - 初コメ失礼します。完結おめでとうございます！とても面白い作品でした！是非、お二人のその後が読みたいです！ (2019年2月26日 2時) (レス) id: 671397f4b4 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 続きを…書いて欲しいですっ！！！！とても面白かったです！！！ (2019年2月26日 0時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
コユキアメ(プロフ) - この作品見つけたときからすっごく好きです！レオくん推しとしては続きを書いてもらいたいですm(_ _)m (2019年2月25日 8時) (レス) id: f7c062f730 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マヨネーズ | 作成日時：2018年10月8日 17時
