37.麗か ドラコside ページ37
ﾌﾜｯ
「ｯ…」
バターと蜂蜜、紅茶の匂いで目が覚める
『ドラコ、おはよう』
「おはよう、クロウ」
優しくて心地よい声で起こされ
目を開けてすぐに君の微笑みが見れるのは良い気分だ
『朝食、準備するね』
テラスで待ってる、と部屋から出て行くクロウ
僕の家では誰かが
隣に寝てくれたりする事なんて無かったし
朝起こしに来るのだって屋敷しもべ妖精の仕事だ
「(クロウが隣に居てくれるだけで安心する)」
幼い頃、父上からの重圧に耐えられなくて
1人で大きいベッドに背中を丸めて寝てたのが嘘みたいだ
そんな事をふと思い出しながら急いで身支度を済ませる
ｻｧｧ
テラスへの扉を開けると少し暖かくなってきた風が吹く
それと同時に美味しそうな朝食の匂いが鼻腔をくすぐる
「おまたせ」
『召し上がれ』
彼女がそう言って紅茶を注いでくれる
テラスのテーブルにはクロワッサン、スープ、紅茶
そして、ジャムや蜂蜜が綺麗に並べられていた
ｻｸｯ
「美味しい…」
『ふふっ良かった』
昨日の夕食のフランス料理も凄く美味しかった
朝のバターの良い香りはこのクロワッサンだったのか
「クロウは本当に料理が上手いな」
『私はまだまだだよ』
お母様の方が美味しいもの、と謙遜する彼女
毎日食べたいくらい僕は好きなんだけどな
ｶﾁｬ
『ドラコ、貴方にこの景色を見せたかったの』
朝食を食べ終えて、ふと景色を眺めるクロウ
「わぁ…綺麗だな」
ここにきた時、山々に挟まれ湖が目の前にある
この土地は自然豊かでクロウが好きそうだな、とは思ってたが
彼女が見て、と伝えて来た景色は想像を上回る美しさだった
日の光が湖に移り、霞が間接的に
それを柔らかい印象にしてくれていて綺麗だった
ｸｽｯ
『やっぱりね』
「何がだ？」
僕の隣からクロウが小さく笑う声がする
僕は不思議に思い、首を傾げる
『この景色だけでも充分美しいけれど
その景色を眺める貴方はそれ以上に綺麗だなって』
心底幸せそうな表情で笑うクロウ
「そうやって言って笑ってる君の方が綺麗だと思うけど」
僕は少し揶揄い混じりに言い返す
僕がこうやって言った時、驚いた様に目を少し見開いて
頬を赤くして照れながら微笑む君が愛おしい
ｻﾗｯ
「(本当に綺麗だ…
僕はもう、君を知る前には戻れないな)」
なびく美しい艶のある黒髪
サファイアブルーの瞳には日の光が映って
たまに緑色の光が一瞬輝いて見えて
気付いたら僕は君に見惚れてる
こんな幸せな日々、忘れる事なんて出来ないよクロウ
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kurou(プロフ) - ルリさん» ルリさん、お褒め頂き光栄です🙇🏻♂️色々と未熟ですが精進していきます！ (2022年1月26日 12時) (
レス) id: 9eb87bac7a (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - とても素敵な作品で、更新が待ち遠しいです！久しぶりのワクワクで読んでいてとても楽しいです！次の更新も頑張ってください！ (2022年1月26日 8時) (レス) id: f2a767728c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：戯言。 | 作成日時：2022年1月21日 14時
