29.迷子 ドラコside ページ29
ホグズミード―
「連れて来れる様になったんだな」
クロウの隣を誇らしげに歩いているフィデス
雪や雨の時はいつも連れていないのに、と僕は不思議に思う
『首輪に防水呪文をかけたの』
「良かったな、フィデス」
物に魔法をかけて、半永久的に効力を持たせるなんて
よく考えたな、と僕は感心してしまう
ｸﾞｽｯ
「(迷子か…)」
少し離れた人混みの中で泣いている幼い子供が目に留まり
ふと、幼い頃の自分の姿が重なる
僕もよく何かに集中してて
つい、母上の手を離してしまう事があったな
ｸｲｯ
『ドラコ、あの子きっと迷子だわ』
僕の手を引いて迷子の方へ向かうクロウ
周りの人は皆
どうせすぐ親が来るだろう、と見て見ぬ振りなのに
ｽｯ
『初めまして、小さな王子様
そんなに泣いたらかっこいい顔が台無しよ？』
子供の目線に合わせる様に屈み、ハンカチで涙を拭うクロウ
彼女の優しい雰囲気に安心したのか、涙が収まっていく
「ママがいなくなっちゃったｯ…」
『あら、そうなのね
大丈夫、このワンちゃんが見つけて来てくれるわ』
クロウがフィデスに探して来る様に頼む
「僕が王子様なら、お姉ちゃんはお姫様なの？」
フィデスを待つ間、気を紛らわせようと
彼女が話かけているとそんな質問を投げ掛ける
『んー…』
「彼女は僕のお姫様だから」
何て答えようか迷うクロウを見兼ねて
僕は目線を合わせる様に屈み込んで笑顔でそう伝える
『⁉︎』
「んーそっか！」
何言ってるの！、とでも言いたげな表情で見てくる彼女
別に間違ってないし、子供も納得してるから良いじゃないか
暫くして、フィデスが母親を連れて戻って来た
「本当にありがとうございます…」
僕とクロウに頭を下げる母親
子供は嬉しそうに駆け寄って行く
『いえいえ。
もうママの手を離しちゃダメよ？
大切な人の手は離さない事、約束ね』
「うん！」
元気良く返事をすると、母親と共にその場を後にする
『見つかって良かったね』
「そうだな」
にこにこと嬉しそうに笑うクロウ
彼女は他人の幸せも自分の幸せの様に喜ぶ人だ
『ドラコも迷子になったことある？』
「あぁ、よく母上に心配されたよ」
泣いてる僕を見つけては駆け寄って抱きしめてくれてた
ｷﾞｭｯ
彼女がいきなり、手を繋いでいる所に
空いている自分の片手を重ねるから僕は首を傾げる
『ドラコが迷子にならない様に、ね』
「お互いに、な」
離さないからね、と悪戯っ子の様に笑う彼女
大丈夫、僕も離してやるつもりなんて無い
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kurou(プロフ) - ルリさん» ルリさん、お褒め頂き光栄です🙇🏻♂️色々と未熟ですが精進していきます！ (2022年1月26日 12時) (
レス) id: 9eb87bac7a (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - とても素敵な作品で、更新が待ち遠しいです！久しぶりのワクワクで読んでいてとても楽しいです！次の更新も頑張ってください！ (2022年1月26日 8時) (レス) id: f2a767728c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：戯言。 | 作成日時：2022年1月21日 14時
