35.幸せな強い思い ハリーside ページ35
イースター休暇明け―
「強さが十分ではなかった様だな」
ルーピン先生にそう言われる
「(箒に初めて乗れた事じゃ足りないって
じゃあ何なら良いんだろう…)」
僕はその言葉に悩んでしまう
ｺﾝｺﾝｯ
すると突然、部屋の扉がノックされる
「君がそうやって悩むんじゃないかと思ってね」
そう言い、ルーピン先生が扉を開ける
『こんにちは、ハリー』
クロウが立っていた
「クロウは守護霊を呼び出せるの？」
『いいえ、知識として知っている程度よ
まだ呼び出したことは無いわ』
じゃあ何で、ルーピン先生はクロウを呼んだんだろう
「彼女には少しアドバイスをしてほしくてね」
そう言い、ルーピン先生は僕に向かってウインクをする
『強さが足りないのなら、
両親の事や好きな人のことを考えると良いと思うわ』
そう微笑んでくるクロウ
そして、本棚に置いてある難しそうな本を読み始めてしまった
きっと、彼女はボガートを見たくないからだと思う
「じゃあ、もう一度やってみよう」
ルーピン先生はそう言い、再度箱を開ける
ﾌﾞﾜｯ
ボガートが化けた吸魂鬼が襲い掛かってくる
「“エクスペクト・パトローナム”！」
僕は両親の顔を思い浮かべる
僕に話しかけていたあの顔を…
すると、杖から銀色の光が放たれ、ボガートが怖気付いていく
「(あと、もう少しで撃退出来るのにｯ…)」
そう思った時にクロウが視界に入る
ﾋｭｯﾊﾞﾀﾝｯ
気付けばボガートを撃退し、先生が箱の鍵を掛けていた
『ハリー、凄いじゃない！』
自分のことの様に喜んでくれるクロウ
僕はその笑顔が好きだ
「ハリー、よくやった！」
もうくたくただろう、とルーピン先生は労ってくれる
そして、僕にチョコを渡すと部屋から出て行ってしまった
『何を思ったの？』
「父さんと母さんの顔だよ、僕に話しかけてくれてた」
『それは素敵ね』
そう言って君は僕に微笑んでくれる
君の笑顔も思い浮かべたんだって言ったら君はなんて言うかな
「クロウは何を思うの？」
『私も大切な人たちの顔を思い浮かべると思うわ
その人達が笑顔なのが1番幸せだもの』
まだ、その時が来ていないけれど、と笑うクロウ
君の守護霊はすごく綺麗なんだろうな、と思う
『それぞれ実体を出せる様になったら良いわね』
どんな動物かしら、と楽しそうにするクロウ
そんな彼女と会話していたらさっきまで
くたくたに疲れていたのがあっという間に消えていく
君が僕の隣で笑っていてくれたら
どんなに幸せなんだろう―
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作者名：戯言。 | 作成日時：2021年12月20日 21時
