Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ33)

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33.イースター休暇② ページ33

サンダーバードが降り立った瞬間に
当たりは何事もなかったかの様に晴れ渡る

ｽﾘｯ

『良い子ね、レクス』
クロウはそう言い、すり寄って来たサンダーバードを撫でる

「サンダーバードだ…」
ルーナはキラキラと目を輝かせる
彼女も魔法生物が好きなのである

『この子はサンダーバードのレクス
違法取引されそうになっていたところをお父様が保護したの
何度か故郷に帰そうとしたんだけど、懐いちゃって
結局ここに戻って来ちゃうのよ』
そう言い、愛おしそうにレクスを撫でる

「触っても良いのか？」
『どうぞ』
セオドールの言葉にクロウは言うと思ってたわ、と
5人にもっと近づく様に指示をする

「凄い…」
「羽毛はいろんな色に変化するんだね」
「綺麗ね…」
「柔らかいんだ…」
ドラコ以外の4人はそれぞれレクスを撫でていく

『ドラコ、大丈夫よ』
「…あぁ」
ヒッポグリフに襲われた事があるドラコは少し怖気付くが
クロウに誘導され、レクスを恐る恐る撫でてみる

ｽｯ

すると、ドラコにもレクスは擦り寄って来たのだ

『あ、そうだ
4人は先に戻ってて貰っても良いかしら』
「そうするわ」
パンジーの返事を聞き、クロウは
フィデスに案内する様に指示する

「なんで先に返したんだ？」
『前、約束したでしょ？
魔法生物に乗って飛んでみたい、って』
そう言い、クロウはドラコに悪戯気に笑い掛ける

『レクス、彼なら良いわよね』
クロウがそう話し掛けると、レクスは少し屈む

ｽｯ

『ほら、ドラコ乗って』
「分かった」
2人でレクスの背中に乗る
すると、レクスは翼を大きく広げ、飛び立つ

ﾊﾞｻｧｯ

『どう？素敵でしょ？』
「あぁ、凄いな」
2人はレクスの背中からの景色を眺める

ｽｯ

『このまま、戻りましょうか、レクスお願い』
クロウがそう言うとレクスは先に行っていた
フィデスの後に続く4人に追い付く

「ズルいぞ！」
「いいなー」
セオドールやルーナから不満の声が聞こえる

『ダメよ、ドラコだけ特別なの』
下に向かってにこにことそう言うクロウ

「⁉︎」
ドラコはただでさえクロウを背後から抱き締める形で
レクスに乗らなければならない状況下で
赤くなっていた顔がさらに赤くなる

『どうしたの？ドラコ…⁉︎』
後ろを振り返り、ドラコの表情を見て
自分が何を口走ったのか理解したクロウ
そして、この体勢に気付き、恥ずかしくなって来た様子

ﾊﾞｻｧｯ

『「ｯ…」』
そして2人はその後、真っ赤な顔をした状態で帰って行った―