Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ31)

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31. 鼠壁を忘る壁鼠を忘れずページ31

放課後、クロウは一人で図書室に来ていた―

『(決定打になるものが何一つ無いわ…
それにルーピン先生が狼人間である事くらい
魔法省に登録済みだし、知っている筈だもの…)』
クロウはダンブルドア校長に
2人が会っていることを相談出来ずにいた
もし、自分の思い違いだったなら
何の罪もない人を罪人にしてしまうから、と

『(ただ、ハーマイオニーから聞いた話も気になる…)』
クリスマス休暇後にハーマイオニーから聞いた話がある

シリウス・ブラックがハリーの名付け親で
ハリーの両親を裏切った人物でもある、と
そして友人であるペティグリューを
指一本のみ残して殺害したこと
それをハリーが聞いてしまい、仇を取ると言っている、と

『(それに指一本のみ残すなんて
そんな足の着きそうな事を
頭の良い魔法使いがやる事では無いわ…)』
クロウは狼人間の記載がされているページを見る

『(ジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック
リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリュー
の4人はとても仲が良かったとお父様も言ってたし…)』
もし、ペティグリューが死んだ、と言うのが嘘だとしたら？
クロウの頭にある可能性が浮かび上がる

『(例の彼の何らか指示でブラックじゃなくて
ペティグリューがハリーのご両親を裏切ったとしたら？
自分を死んだ事にしてブラックに濡れ衣を着せてたら？
それをブラックに知らされたルーピン先生なら
親友だったブラックを信じるかしら…)』
それなら自分が死んだと思わせるために
指を一本切り落として現場に残す意味もあるかも知れないわ
殺人鬼の残忍性を表すには十分だものね、と考える

『(仮にルーピン先生がブラックを信じたとして
ブラックの無罪を証明したい筈よね、
彼もハリーに思入れがあって危険な所まで来たのだろうし)』
そうなると、ペティグリューを探し出す必要があるわ、と

ふと、ここ最近フィデスがずっと警戒している鼠を思い出す

『(12年生きてるって聞いたわ…もしかして…)』
タイミングが良過ぎないかしら？とクロウは違和感を持つ

ｺｿｯ

『フィデス、スキャバーズの監視をお願いしても良いかしら
傷付けたり、殺したりしてはダメよ？』
そう小声で言い、フィデスの頭を撫でるクロウ

『(彼を見つけたら、吸魂鬼に受け渡す
そしたら、ブラックの無罪は証明されるわ)』
未成年の魔女がどれだけ理屈を並べても
魔法省は聞き入れてくれないもの、とクロウは思ったのだ―