Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ28)

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28.ホグズミード　夢主side ページ28

クリスマス休暇も近くなり、
4人でホグズミードに来ていた―

「すっかり治ったな、ドラコ」
「あぁ、お陰様でな」
ドラコの腕も正常通り動く様になり、
休暇明けからはクィディッチにも戻れる様になったらしい
アミーは新しく出来た恋人とデートだ

「なぁ、叫びの屋敷行こーぜ」
『私は怖いから辞めておくわ』
あの薄暗い場所に行こうとセオドールがはしゃぐ
パンジーと2人にするには
ちょうど良いと思った私はその誘いを断る

「じゃあ、僕はクロウとここで待っとく」
そう、優しい彼は怖がりな私を1人にしない様にしてくれるから
優しさに漬け込む様で心が痛むが
パンジーの為だ、と自分に言い聞かせる

「なんだよ、つまんないなぁ」
『ごめんなさいね』
パンジー行こう、とパンジーの手を引くセオドール
パンジーは心無しか嬉しそうな表情を浮かべている

「あんなとこの何が面白いんだか…」
2人を見送り、ドラコは呆れた様に発する

『ドラコも怖がりだものね』
私はその表情にｸｽｯと笑い、彼を揶揄ってみる

「なｯ⁉︎僕は君が1人にならない様に…」
『ふふっ知ってるわ、ありがとうドラコ』
揶揄われ、少し赤くなる彼に私は微笑む
貴方は優しすぎるものね、と
私は怖がりで泣き虫な貴方も嫌いになれないの

ﾌﾜｯ

『雪、綺麗ね』
別に雪なんて珍しくも無いけれど、話題を変えたくて呟く

「あぁ、綺麗だな」
彼も同じくそう返して来る
自分に言われた訳じゃないのに顔に熱が集まって来る

「体調、悪いのか？」
『ううん、風がちょっと冷たくて』
顔が赤くなった私を見て、心配そうに顔を覗き込んでくる彼
悟られたく無くて顔を背けて、嘘をつく

ｷﾞｭｯ

それを誤魔化す様に足元の雪で雪だるまを作る
強引過ぎるかもしれないが今の私は
こうでもしないと彼に好きって伝えてしまいそうだから

ｸｽｯ

―可愛いな―

『⁉︎』
開心術は使ってない筈なのに
彼の気持ちが勝手に伝わって来て、
私は思い切りドラコの方へ振り向く

『ｯ…今、私の事馬鹿にしたでしょ』
「いいや？」
私は気のせいだ、そう思いたくて必死に誤魔化す
彼はそんな事も知らずに悪戯気にそう言って笑ってた

『(私が勝手にドラコを好きなったんだもの…
でも、私じゃないならそんなに優しくしないで)』
しゃがみ込んで私と一緒に雪だるまを作る
ドラコを見て、胸が締め付けられる

『(貴方の好きな人が私だったら良かったのに)』
私、そんな事を思ってしまうくらいドラコが大好きなの―