Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ20)

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20.ボガート② ページ20

「次はアミー！」
『大丈夫よ、アミー』
怖がるアミーを励ますクロウ

ｶｻｯ

ボガートはゴキブリに変化する

「ｷｬｯ…“リディクラス”！」
すると、ゴキブリは綺麗な白猫に変わった

ﾊﾟﾝｯ

「やったわ！」
『上手ねアミー！』
2人は嬉しそうにハイタッチする

「次はクロウ！」
そう言われ、クロウは前に出る

ﾌﾞﾜｯ

その瞬間、クロウは黒い靄のようなものに囲まれてしまう

「暗いの苦手だものね」
納得するパンジー

その靄の中―

『暗いのならまだ大丈夫…⁉︎』
目を凝らし下を見ると、
そこには…両親の死体があった

さらにその奥にはルーナ、フィデスの死体…

ﾄﾞｻｯ

クロウはその光景に全身の震えが止まらず、
膝から崩れ落ちてしまう

そして顔を上げると、ドラコの死体まで現れる

どの死体もひどく傷付いていて、無惨な姿となっている

『ﾋｭｯ…』
これはボガート、幻覚、そう思っても
冷静に対処なんて出来ず、
体は震え、息もうまく出来なくなってしまうクロウ

ｻﾞﾜｻﾞﾜ

「ねぇ、パンジー…クロウどうしちゃったのかな」
「こんなに遅いなんておかしいわね…」
クロウがその黒い靄の中から中々現れない為、
生徒達は不安の声を漏らす

ｸﾞﾜｧｯ

フィデスが現れ、その黒い靄に襲い掛かる
すると黒い靄は晴れ、ボガートは自ら箪笥の中へと戻っていく

ｻｧｧ…

そこには明らかに気が動転しているクロウが座り込んでいた

ﾀﾞｯ

「クロウ！何があった⁉︎」
ドラコは急いでクロウに駆け寄り声をかける
フィデスも心配そうに側に寄り添う

『ｯ…』
「気が動転しているね、少し外で休ませてあげると良い」
「僕が連れて行きます」
ルーピン先生がクロウの様子を見て
駆け寄って来たドラコにそう伝える

「クロウ、僕の声が聞こえるか？」
そう声をかけながら、クロウの体を支え
教室を出ていくドラコ

「今日の授業はここまでにしよう
みんな、教科書は忘れずにね」
そう言い、生徒達を返すルーピン先生

ｿﾞﾛｿﾞﾛ

「ロヤリテートがあんなに取り乱すなんて…
何に変化したんだ？」
「暗い場所かと思ったけれど…」
ロンとハーマイオニーは
クロウの尋常じゃない取り乱し方に不安がる

「…大丈夫だと良いんだけど」
ハリーも物凄く心配そうに出て行った方向を見ていた―