Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ19)

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19.ボガート① ページ19

闇の魔術に対する防衛術の授業―

ｶﾞﾀﾝｶﾞﾀﾝｯ

「面白いだろう？」
古びた箪笥が大きく揺れている
今日はルーピン先生の初授業である

「この箪笥の中にいるのは何者か、分かる人はいるかな？」
そう言い、生徒達へ問い掛ける先生

「まね妖怪ボガート」
「その通りだよ、ディーン
では、ボガートはどんな姿をしているかな？」
箪笥の前へと移動しながら授業を進めていく先生

「誰も知りません
形態模写妖怪、相手が1番怖いと思うものに姿を変えます
だからとても…」
「とても怖い、そう、その通りだね」
ハーマイオニーが答える

「幸い、ボガートを退散させる簡単な呪文がある
じゃあ、練習しよう」
杖無しで良いよ、と先生は言う

「言ってみよう“リディクラス”」
「“リディクラス”」
先生の後に続き、復唱する生徒達

「とても良い。ここまでは簡単だね
呪文だけでは十分じゃないんだよ
ボガートを本当にやっつけるのは“笑い”だ
ボガートを酷く滑稽だと思える姿に変える必要がある
説明しよう。あーネビル」
前に出て、と促す

「やぁ、ネビル。君の1番怖いものは？」
「…スネイプ先生」
その答えに一同が笑ってしまう

『良い先生なのに』
クロウだけは少し違う反応だが

「君はお婆さんと暮らしているね」
「でも、お婆ちゃんに変身されるのも嫌です」
「いや、そうじゃない…
お婆さんの服装を想像してごらん？服だけだよ」
声に出さなくても思い浮かべるだけで良いよ、と
言い、ネビルの側に立つ先生

「私が箪笥を開けたら、君はこうやるんだよ」
そう言い、ネビルに何かを耳打ちする先生

「じゃあ、杖を構えて」
そして、箪笥が開く

ｷｨｨ

中からスネイプ先生が出て来る

「“リディクラス”！」
ネビルがそう唱えると
スネイプ先生はお婆さんの服装へと変化していく

ﾜｯ

生徒達は思わず笑ってしまう

「素晴らしいよネビル！最高だ！
じゃあ、一列に並んで！」
先生がそう声をかけ、生徒達は一列に並んでいく

ｻﾞｯ

「では次、ロン！」
その指示にロンが前へ出る

ﾄﾝｯ

ボガートは大蜘蛛へと変化した

「うぅ…“リディクラス”！」
ロンがそう唱えると大蜘蛛は
それぞれの足にスケート靴を履き、滑ってしまう

「いいねぇ！実に良いよ！
次はパーロピー！」
そして、グリフィンドールの女子生徒が前へ出る

ｼｬｧｧ

ボガートは大蛇へと姿を変えた

「…“リディクラス”！」
そう唱えると大蛇はピエロへと姿を変えた

その流れで他の生徒も行っていく―