10年前のお話 ページ2
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｢………｣
｢…あの、A…さん？｣
グルッペンが女の子を軍に迎え入れた。
男しかいなかった軍に女が入るというその異例の事実は瞬く間に広がり、Aさんは興味の目を浴びながら生活していた。
そんな彼女は俺の受け持つ情報機関の部下である。そして今日は顔合わせという事で、こうやって直接情報機関について教えようとしているのだが…、
｢こうやるんやで｣
｢………｣
｢…Aさん？聞こえてる…？｣
｢…はい、すみません｣
と、ずっとこの調子なのだ。説明しても無言で、ずっと下を向いている。これは一体どうしたものかと頭を捻らせ、少し気も引けるが思い切って顔を上げさせることにした。
Aさんの頬を両手で挟み、グイッと上に向けさせる。
｢へ…！？｣
｢…っ！｣
彼女の目を見た瞬間、鳥肌がたった。
彼女の目は濃いめの青色、所謂藍色と言う色だった。その目にキラキラとした光が反射し、とても綺麗だったのだ。
｢な、な、何するんですか…！？｣
｢……あ、あぁ！ごめんな！｣
頬から手を引き、もう一度彼女を見つめた。少し赤面して伏し目がちになっているが、それに藍色が映えて余計に綺麗に見える。
｢……あの、ロボロ様、｣
｢な、何？｣
｢……私のこの目、醜くないんですか？｣
彼女は再び俯き、そう言った。
｢そんな訳ないわ！すっごい綺麗な色だと思うで。だって俺今、見惚れたもん｣
彼女がガバリと顔を上げ、身長差で少しだけ低い位置から上目遣いで俺を見つめた。…あれ、俺爆弾発言しちゃった？
｢ほ、本当、ですか…？｣
｢お、おん、嘘ついてどないすんねん｣
｢…ふふ、そっかぁ…ありがとうございます…！｣
そう言ってクスクスと笑う彼女は、とても綺麗で可愛らしかった。
……思えば、俺はこの時から恋をしていたのかもしれない。
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作者名：雪うさぎ | 作成日時：2019年5月11日 21時
