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*
「おじゃましまーす」
無事に収録も終わって、約束通り山田の家へ。
家自体は何度かお邪魔したことあるけど、他のメンバーなしで二人っきりでっていうのはもちろん初めてだ。
知念たちと鍋をしたときには、おれだけ完全アウェーな感じ〜なんて若干居心地の悪さすら感じてたはずなのに、人生って不思議なもんだな。
「あ、伊野尾ちゃんスリッパ」
「おかまいなく〜」
「それ使いどころ違うから。ほら、履いて」
そう言ってペンッと山田がこっちに放り投げたのは、なんかめちゃくちゃもこもこした黒いスリッパ。
よく見ると、猫耳みたいな飾りがついてて……いやこれ完璧猫だな。
JKの部屋とかにありそうな黒猫スリッパだ。
「……涼介ちゃん、かわいー趣味してんね」
半笑いでツッコんでやると、JK涼介ちゃんはバッと振り返って「言っとくけど、それ新品」って真顔でスリッパを指さした。
「しんぴん」
「猫、可愛い。……あとは察して」
ぷいっと顔を背けて、そそくさと部屋へ引っ込んでいく山田の後ろ姿におれはぽかんとしてしまう。
玄関にしゃがみ込んで、改めて黒猫スリッパをじーっと見つめてみた。
ふわふわのもふもふで、垂れ気味の猫耳。
ちょこんとついた目玉は、なんかふてぶてしくて眠そうで……これ可愛いか？
山田ってやっぱりちょっとおれとは違う感性してる。
猫ちゃんスリッパを履いて、少しJKに近づいたおれがダイニングへと向かうと、すでに山田はキッチンに立っていた。
「ほあ、いいにおい〜……って、いくらなんでも早くない？」
ふわんと鼻をくすぐる醤油と出汁のにおいに夢心地になったけど、待て待て。
おれと山田はたったいま仕事を終えて帰ってきたばかりだ。
時間といえば、せいぜいおれが手を洗っていた五分弱くらいのもんで、いくら山田が料理上手といえど、この短時間でそんないいにおいがする段階までいくはずがない。
「下ごしらえ…っていうか、あっためれば完成ってとこまで作っておいたから」
「え、まじで」
ゆとりたっぷりの3口コンロには、煮物とお吸い物、テーブルには箸休めの漬物。
コンロ下のグリルも点火されてて、鯖らしき魚がオレンジ色に照らされ、いい具合の脂で輝いている。
「……やべ、よだれ出ちった」
「いや早いわ」
ぺしん、っておれの頭を軽く叩いて、山田は上機嫌そうに笑っていた。
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ひとみ(プロフ) - 泣くないのちゃんもこれも大好きすぎて3ヶ月に1回くらい読みにきてます笑 この続きもめちゃくちゃ気になるので続きをお願いします！！ (2021年11月27日 17時) (
レス) @page36 id: e39657dd30 (このIDを非表示/違反報告)
荒川 - めちゃくちゃ好きです！！！続きをお願いします泣 (2021年10月26日 5時) (レス) id: f6705dec1d (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - どうしよう！キュンキュンしすぎて叫び足りないんですけど！好きです！あと10回見てきます！！*\(^o^)/* (2020年2月6日 23時) (レス) id: 8271c7e9a0 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんは。いのちゃんが山ちゃんを好きになってる感じでニヤニヤしちゃいます。早くいのちゃんが恋に気付くといいなーと思ってます。 (2020年2月6日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
あまなつ(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてなによりです！これからも更新がんばりますね！ (2020年2月6日 22時) (レス) id: 8c441c3d0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまなつ
| 作成日時：2020年1月5日 12時
