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動揺しまくりの山田が漫画みたいにつまづきながら楽屋に戻って、
無邪気なエスパーが「おれもお水飲んでこよ！」なんてそれについていって、残ったのは大ちゃんとおれの二人。
「……裕翔、おれらに盗聴器でもつけてない？」
「ダダ漏れな山田氏サイドにも問題ありだろ」
確かにそれも否めないけども。
楽しそうに笑いながら、大ちゃんはパイプ椅子にどっかり腰を下ろす。
他人事だと思って楽しみやがって。
むっとしながら隣に座れば、大ちゃんは半パンから覗く膝小僧をぺちんと叩いておれを見た。
「山田は恋でいい方向に変わるタイプだったようで」
「少なくともおれのせいでエース失墜なんかされたら、おれが事務所クビになるわ」
「雑誌発売されたら、相当山田のファン増えそう」
「さらに？」
「さらに」
「すげーな、まだ増えるか」
そのうち日本国民総山田ファンの時代が来るかもなあ、なんて適当なこと言って、画像チェック用のディスプレイに手を伸ばす。
最初の数枚。
笑っちゃうくらい、地蔵みたいなかたい表情の山田と、いつも通りふぬけた顔したおれだ。
それから、ああ、ここからかな。
はにかんだ山田のショットを皮切りに、少しずつ写真が輝き始める。
「おれこの写真好きだわ」
横から伸びてきた大ちゃんの指がさしたのは、ちょっと悪い顔して笑った山田の写真。
「ああ、それね。おれにスカート履かせたいって言ってた時のショットだわ」
「え、あいつやべーじゃん」
「真顔で言うのやめたげて」
一応山田を庇って、それからさらに下にスライドしていけば、最後の一枚に辿り着く。
薄く開いた唇がおれの耳元に寄せられて、
身長差で上目遣いになった瞳は夕方の空に浮かび上がった星のように、柔らかく、どこか切なげな光を宿していた。
「この時、山田なんて言ってたの？」
大ちゃんの問いかけに、山田の声が脳内に蘇る。
──好き、って言われたい。
シンプルでストレートな言葉だった。
目は口ほどに物を言うって言うけど、こういうことか。
羨ましいな、と思う。
画面のなかの山田は本当に綺麗で、恋すれば人ってこんなに綺麗になれんのかな。
そういう恋をおれだって、できるもんならしてみたいよ。
「……なに、大ちゃん」
ふいに背中を叩かれて、大ちゃんを見る。
太陽みたいな手のひらで何度もおれの背中を叩いて、「なんでもなーい」と大ちゃんは笑ってみせた。
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ひとみ(プロフ) - 泣くないのちゃんもこれも大好きすぎて3ヶ月に1回くらい読みにきてます笑 この続きもめちゃくちゃ気になるので続きをお願いします！！ (2021年11月27日 17時) (
レス) @page36 id: e39657dd30 (このIDを非表示/違反報告)
荒川 - めちゃくちゃ好きです！！！続きをお願いします泣 (2021年10月26日 5時) (レス) id: f6705dec1d (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - どうしよう！キュンキュンしすぎて叫び足りないんですけど！好きです！あと10回見てきます！！*\(^o^)/* (2020年2月6日 23時) (レス) id: 8271c7e9a0 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんは。いのちゃんが山ちゃんを好きになってる感じでニヤニヤしちゃいます。早くいのちゃんが恋に気付くといいなーと思ってます。 (2020年2月6日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
あまなつ(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてなによりです！これからも更新がんばりますね！ (2020年2月6日 22時) (レス) id: 8c441c3d0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまなつ
| 作成日時：2020年1月5日 12時
