episode521 ページ22
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ハンジ「A」
貴「…ハンジさん？」
ハンジ「風邪ひくよ？ほらタオルで体を包んで」
貴「ありがとうございます」
私は船に着いたハシゴをのぼり、ハンジさんの手を掴む。
そしてフカフカのタオルに包まれた。
ハンジ「夜の海は冷たいだろうに」
貴「…さっき。初めて母の声を聞きました」
ハンジ「？……そうかい。Aのお母さんは海の精霊にでも生まれ変わったんだろうね」
貴「はい…とても優しくて、温かい声でした」
ハンジ「それはよかった。
あなたが泳いでる間に飛行艇での行き先が決まったんだ
イェレナの話によれば、エレンはたぶんこの先スラトア要塞に向かう可能性が高いって話でね
そこへ向かうよ」
貴「そうですか…」
ハンジ「その前に君の彼に言っといてよ、無理に歩くなってさ」
貴「ふふっ…無理ですよ。部屋でじっとしてられる人じゃないですもん」
ハンジ「それもそっか
……A」ｷﾞｭｯ
ハンジさんはタオルで包まれた私を抱きしめた。
貴「どうしたんですか？ハンジさん」
ハンジ「…ごめんよ」
貴「！…ど、どうしてハンジさんが謝るんですか？何も…」
ハンジ「思うんだ…もっとAやエレンの話を聞いて
何か解決策や希望や未来を示せたらよかったのに…って
私は無力で…何もしてあげられなかった」
貴「ｯ…」
ハンジ「団長として…見ているつもりで見れていなかった…
私は団長し…」
貴「失格だなんて言わないでください！！」
ハンジ「！A…」
私はハンジさんの、言葉を遮って強く抱き締め返した。
貴「失格だなんて誰にも言わせません。
だって、ハンジさんはいつだって分け隔てなくみんなを見てくれていたじゃないですか。
あなたにそんなこと言う人がいるなら、私が許しません！」
ハンジ「…ｯ」
貴「私はハンジさんが大好きです。私は出会えて良かったです。
エルヴィン団長でもない、ハンジさんはハンジさんですから。
ハンジさんが…マガト元帥を始めとするマーレの残党と私たちを繋げてくれた
だから私たちは…手を取り合えたんです。認め会えたんです。
ハンジさんは私たちにとって最高の団長です！」
ハンジ「………あなたってほんと……ｯありがとう、私もAと出会えてよかったと思うよ」
貴「…弱気になるなんてハンジ団長らしくないですよ」
ハンジ「ﾊﾊｯ…そうだね」
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作者名：猫まる | 作者ホームページ：
作成日時：2024年1月19日 11時
