十二話 ページ13
××
『ごめんね、零。私もう行かなきゃだから、』
「…………」
先程から零の様子が可笑しい。
急に頭を抱え出したから何か悩み事かな?なんて思って聞いみても「眠いだけ」と一言。仕方なく、もうすっかり冷めた紅茶を味わいながら窓の外を眺めていたら、これまた急に零が席を立って私に抱きついてきた。
あの少しの間でこの人は一体何を考えて、どんな答えに辿り着いたのだろうか。
あの朔間零があんなに寂しそうな顔をするなんて、凛月か五奇人らへんに何かあったのかな?まあ、他人の私には関係のないことだろうけどね。
少し頭を整理をしてから零、と優しく言葉を紡ぐ。
『何かあったの?私でよければ話聞くけど』
零「……………。」
何を言っても返事が返ってこない。流石にこの近距離で声が聞こえないなんてこともないだろう。
だとしたら何故、無視をするのだろうか?
私の行動は制御する癖に何も言わないし、何も聞かせてくれない。別に聞きたい訳でもないけど、一刻も早くここから抜け出す為だから仕方ない。
すっかり静寂と化した寮の一室。
さて、どうしようか、と頭を悩ませていたそのとき、ドアの開く音と共に「いい加減離してあげたらどうだい?」と英智の声。
それと同時に何故か零が私を抱き上げた。
零「天祥院くん、これはどういうことかえ?」
英智「?……………!ああ、流石朔間くん。自力で辿り着いたんだね」
零「我輩はどういうことかと聞いているのじゃよ」
地を這うような声で英智を責め始めた零。
いくら自他共に認める犬猿の仲だとしても急に喧嘩を始めないんで欲しいな、なんて考えながらも零の腕から逃れようと必死に藻掻く。
しかし零は私を離す気はないらしい。仕方なく諦めた私は零の肩に体重を預けて項垂れる。
ああ、どうして。やっと解放されると思ったのになんでこう面倒事が続くのだろうか。私はただ好きに生きたいだけなのに。誰も幸せを与えてくれないから、自給する為にここを離れようとしただけなのに。
それとも私にはその資格すらないのかな?
だとしたら、私はもう________、
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みるくてぃー(プロフ) - 鳳凰さん» 素敵なコメントありがとうございます!とても励みになります!!不定期更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです♪ (8月22日 11時) (レス) id: 4a169714af (このIDを非表示/違反報告)
鳳凰 - 二十四話で推し達がいるの嬉しすぎる!!お話もとても面白いので更新楽しみにしてます!頑張ってください🌸 (8月21日 15時) (レス) @page25 id: 3ca2752c0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年2月12日 22時