◆-18-◆優しい怒声 ページ18
「さっきの電話。
なんかあったんだろ」
「え…」
固まった俺を見て苦笑いしてる。
「コラ、何年一緒に仕事してると思ってんだ。
さっきから見てりゃおめぇ、俺の話もうわの空でよ」
「す…すみませ…」
「悪いと思うなら話してみろ。
どうした、ん？」
確かにこの人にごまかしなんか全然きかない。
俺はあきらめて口を開いた。
「実はあの…家族がちょっと…」
「ちょっと、なんだ」
「…倒れたって、連絡来て」
「なっ…お前そんで、容態は」
「詳しくはまだ知らなくて、あの！
でもあの、多分大丈夫です」
背中をツーッと冷や汗が伝ってく。
服の裾を握りしめながら、
今日のAさんの様子を必死で思い浮かべた。
「風邪…あ、胃腸炎だっけな…
そう言ってたんで、多分それかなって…」
もごもごと言い終えた俺の顔をじっと見て、
その人はしばらく何かじっと考えて…やがて低く聞いた。
「家族っつってたけどよ。
もしかして、嫁さんか」
「…」
「そうなんだな」
俺が結婚するって時も、それからこないだの騒動も。
この人は芸能界の大御所だし多分全部知ってる。
「じゃあほら、早く行ってやれ」
「え？ いやでも、」
「バカ野郎！！」
まだ会も途中ですしって言いかけたらすごい剣幕で怒鳴られた。
びっくりして目を丸くしてたら、
声が聞こえたのかうちらの個室のドアがそっと開いた。
レギュラーの共演者さん達が心配そうに顔を出してる。
「おめぇは俺とこんな長くいて何学んでんだ！」
「え…」
「大事なことの順番間違えんなって、
いつも言ってんだろうがおめぇ、忘れたのか！！」
「…」
「分かったら、帰れ」
「あのでも、」
「帰れ、つってんだ！！」
今度こそ本気で怒鳴られて思わず身をすくめたら、
ため息の後に優しい声が静かに飛んできた。
「…お前があんな思いして選んだ嫁さんだろうが。
大事にしてやんなくてどうすんだよ」
俺だけに聞こえるぐらいの低い声。
諭すみたいに言われて思わず涙が出そうになった。
「…すみません。じゃあ、俺…」
「おう、行け行け。
あーそうだコラ、おい」
「は…はい？」
「次お前だけ特別コースな、『反省会』」
覚悟しとけ、朝まで膝なんか貸してやんねぇからよ。
にやっと俺に笑いかけてその人はスタスタとトイレに入ってった。
ラッキーカラー
あずきいろ
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薫子(プロフ) - さやさん» おお、さすが！飽きられないように私も頑張らねばっ(￣◇￣;) まぁくんは青天の霹靂って感じだよね。２人の関係がこれからどうなるのか…フフフ、お楽しみに(ΦωΦ)b (2015年12月16日 21時) (
レス) id: 6043de2546 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - ここまで予想通りの展開(ﾌｧﾝ歴故)…さてどうするまぁくん!! (2015年12月16日 16時) (レス) id: 022037c9da (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - ゆーかんさん» わ、嬉しい！！そんなに楽しみにしていただけてるなんて本当に励みになります(ノω；) なかなかヘビーな展開になるかもですけど、また読んで感想いただけたら嬉しいです。頑張りますねっ！！〆(｀･ω･´) (2015年12月14日 15時) (レス) id: 6043de2546 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーかん - 最近は毎日更新をチェックするくらい、毎回どうなったんだろうとかあー良かったとか思っています。ゆっくりでも、絶対見るので更新頑張ってください!!＾＾ (2015年12月14日 15時) (レス) id: c501d19c36 (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - ゆーかんさん» そんな前からずっと読んで下さってるなんて…ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ 好きと言っていただけて本当に嬉しいです！最近は前のように更新できてなくて心苦しいんですけど、こうしてコメいただけると元気でます！またいらして下さいねー♪ (2015年12月2日 7時) (レス) id: 6043de2546 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2015年11月22日 16時
