┃ ページ13
・
・
・
『数馬、こっちに包帯を。左近はそっちへ包帯……じゃなくて湿布薬！ああっ、乱太郎と伏木蔵はまず自分の治療をして！』
只今医務室は超満員。動ける保健委員は私を含めた三人、乱太郎と伏木蔵は負傷してるし文次郎は学園長の緊急招集により不在。切実に猫の手も借りたい。
あれから何があったのかといえば、何故か委員会対抗という訳でもなく物の投げ合いが始まった。やかん、ハタキ、箒、サッカーボール、茶碗、本、傘、ジョウロ、座布団に木魚にお玉。本当に文字通りの物の投げ合い。どっから持ってきたんだよ。この間運動会で似たようなことやったばかりじゃん。
途中で仙蔵や孫兵の姿も見えたからきっと毒虫も紛れていたんだと思う。更には火器類も混ざっていたらしく、こう…………ドカン！となった。
大体予想は着くけど誰かが火をつけ、投げ、長次のレシーブ、そしてトドメに小平太のアタック。それが騒ぎに気づいて駆けつけた学園長のもとへ直撃。なんて不運だ。いや、伊作があの場にいなかったからもしかしたら最小限の被害に収まっているのかもしれない。分かんないけど。
『……はい、次の人！』
あの爆発に巻き込まれなかったのは会計委員会と我が保健委員会の半分、そして爆発時はまだ上空にいた小平太のみ。何人手当しても終わらない地獄。ああ、こんな時伊作だったら手当の手際が最高に良くてすぐ終わるんだろうけどなぁ……
｢ただいま｣
『おかえりなさい。すみません潮江先輩、手が足りなくて……やり方はこちらで言うので手当を手伝って頂けますか？』
先輩に対して失礼は承知だけど手を止めている暇はないから目先の金吾から目を離さずに声をかける。本当に人手が足りないんだ。このまま三人でやってたらあっという間に夜に……
｢大丈夫、聞かなくたって分かるよ｣
『もう治療法覚えられたんですか？』
｢……A先輩、｣
『ん？あ、ごめん痛かった？』
就任一日目にして治療法覚えたなんて。勤勉、いや一部は元から知っていたのかな、六年生だしな。なんて思っていたら金吾に声をかけられる。思わず顔を上げると金吾が少し気まずい顔をしている。
金吾｢あ、いえ、そうではなくて｣
『？』
気がつけばみんなが入口の方を向いている。数馬も左近も乱太郎も伏木蔵も。文次郎、そんなに酷い怪我でもしてたっけ？
一旦手を止めてそちらを振り向く
｢聞かなくても分かるよ、だって────｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 632人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タンシオ - 初コメ失礼します！！最後の七松くんのラッキースケベが羨ましいな、、、なんて思ったり笑怒涛の展開で見ていてとても楽しいです！！また次の更新を楽しみにしてます！！碧さんもどうかご自愛してくださいませ。 (2022年2月12日 11時) (
レス) @page47 id: 85b974bf49 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - トントンと話が進んでいくので、集中して一気に読んでしまいました。夢主ちゃんが思っていることに共感したり、ナイスツッコミ！と思ったり……。この作品に出会えて良かったです。作者さんのペースで全然構わないので、体調に気をつけて更新頑張って下さい！ (2022年1月18日 17時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
綾部伊沙(プロフ) - 面白くて、一気に読んじゃいました。保険委員の絡みが好きです。 色々大変なんでしょうが気がお向きになりましたら、更新の方…お考えになってみてください… (2021年12月16日 19時) (レス) @page34 id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
永遠の3.5年生 - 面白くて一気読みしました…4年生の絡みが特に好きで浜くんも出てきてくれて本当に嬉しかったです…このご時世ですしお仕事もプライベートも何かと大変ではあると思います。どうかお身体に気をつけて…気が向いたらこちらの方もまた考えてみて下さい… (2021年6月24日 2時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
明花(プロフ) - お忙しい中更新ありがとうございますお疲れ様です…！！本当にこの小説が大好きなので嬉しいです！！！！ですがご無理せず、蒼葉碧さんのペースで書いてくださいね…(;_;)この小説の完結までずっと見守らせていただきますので……！！！いつもお仕事お疲れ様です(T . T) (2021年4月12日 14時) (レス) id: 8eeae89b18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼葉碧 | 作成日時：2020年9月1日 8時
