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35 モブと手紙 ページ32

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早いもので四年生に進級してから二ヶ月が経とうとしている。それはもう目まぐるしいという言葉に尽きる日々だった。



昨年までの生活といえば授業を受けて、たまに実習があって、シナ先生や食堂のおばちゃんとお喋りして、忍たまに見つかりそうになったら逃げて、という平和極まりない日々。

それが四年生になった途端どうだ。委員会に所属させられて、忍たまたちと一緒に生活するようになって、なんなら上級生と会って死にかけ、後輩ができて、予算会議に出て、同学年に拉致(仮)され、推しとお出かけして……詰め込みすぎじゃありませんかね？

私のスケジュール管理してる神様〜？もうちょっと穏やかに行きませんか〜？



なんて、本来考えていたことから脱線してしまっていたが、机上の文(ふみ)をみて気を取直す。

これはこの世界の私の父から届いたものである。前世(平成)の人たちは両親を含めて誰も覚えてないもんだから比べることは出来ないけど、今の父はとにかくユニークな人だということは確かだ。

父はとある城でそれなりに地位の高い忍者をしているらしい。……実父の事なのにこんなに情報があやふやなのは"教えて貰っていない"からである。



──父さんの務めてるお城ってどこなの？

──A、忍務ってのは仲間にも家族にも言わないのがルールって前に教えただろう？

──うん

──だから父さんが務めてる城も秘密〜！

──何それ



なんて会話をしたのが前世？の記憶が戻ってからだから……約七年前、それから未だ教えてもらっていない。城勤めの忍者ってみんなこうなの？



最初は忍者ってのも嘘なのでは？と思ったけどそれは確からしい。母とはその務めてる城で出会ったらしいし、学園長との面識もあるみたいだし。入学前はもしかしてモブ教師として忍術学園に？とも思ったけどそういうことでもなく。

ほぼ確実に忍術学園と仲のいい城なんだろうけど絞りきれないしもう諦めている。農民だろうと商人だろうと忍者だろうと父は父なのである。

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