●31 豆腐小僧の心情 ページ14
・
・
・
「……はあ、」
自室の扉を閉めるのと同時にいつの間にか溜めていた息を吐き出す。らしくない事をしたせいか少し鼓動が早い。
「おかえりぃ兵助」
「……ただいま、勘右衛門」
文机に向かっていた、同室であり学級委員長の尾浜勘右衛門が不思議な髪を揺らしながらこちらを向いた。
勘右衛門「実習どうだった?」
兵助「うん……悪い評価は貰わないと思うよ」
勘右衛門「さすが兵助。帰ってきた瞬間ため息なんてつくから何かあったのかと思った」
兵助「まあね」
勘右衛門「課題の内容なんだったの」
兵助「……ペアで町で流行りのものを入手せよ」
勘右衛門「なにそれ、一年生の課題じゃないの?」
兵助「勘右衛門もそう思うよな」
今回の実習は異質だった。
本来であれば学年でグループを作って城に潜り込むとか、瓦をくすねてくるとか。忍びらしいものを期待していたのに対し"男女ペアで町で流行りのものを入手せよ"なんて。
五年生になって初めての課題。去年まで培ってきた力を試す、言わば実力テスト。どんなものかと意気込んでいればおつかいのような内容、密かに自分の実力を測れるチャンスだと思っていたばかりに少し落胆した。
勘右衛門「どんな感じだったの」
兵助「どんな感じって……」
ペアを組んだのは くの一教室の唯一の上級生、AAだった。
課題を行うにあたってのルールとして同級生の協力は不可、女装はOKとあった。先輩か後輩で相手を探そうと思ったが正直女装した彼らと課題をこなせる気がしなく、悩む俺に救いの手を差し伸べてくれたのは一年は組の仲良し三人組だった。
──AA先輩はどうでしょう!
入学以来ほぼ姿を見せない彼女。例の
噂は本当だったらしく彼女は俺を見た瞬間顔を真っ青にして逃げ出した。若干傷ついたがすぐさま追いかけ、医務室の戸を隔てた戦いへと持ち込まれた。
しかしそれは彼女の直属の後輩でありたまたま医務室へ来ていた乱太郎の鶴の一声によって終わりを迎えた。承諾してくれた事への嬉しさのまま戸を開け、彼女の肩をいきなり掴んでしまったのは未だに後悔している。
彼女のこれでもかと言うほど見開かれた目と真っ赤な顔が脳裏から離れない。おまけにそのまま倒れるなんて。
あんな必死に人の名前を呼んだのは初めてだった。
574人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒糖さまでーす - かすてらさん、わかります自分もニヤけてます。 (2023年3月5日 23時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら - 忍たま…子ども向けアニメなのにニヤけちゃう… (2020年9月5日 12時) (レス) id: fce6735151 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - 一般人Nさん» へへ、ありがとうございます。告白されたの初めてなので嬉しいです*˙˙* 雑渡さん出ます!話の順番的にもう少し後なんですがめちゃくちゃ出てくるお話があるのでそこまでお待ちいただければと思います……!> < (2020年2月24日 21時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
一般人N - 初コメ失礼します!大好きです付き合ってください!(( 個人的に雑渡さんが好きだから雑渡さん出してくれると嬉しいなぁ…なんて思ってます!できればで良いので、無視してもらっても構いません!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2020年2月24日 16時) (レス) id: 3767b6257a (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - リリイさん» コメントありがとうございます!本編ではファンタジー要素を入れる予定は無いので本編終了後、番外編などで書ければと思います。素敵なアイデアありがとうございます^ω^ (2020年2月24日 8時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:蒼葉碧 | 作成日時:2019年12月22日 23時