2話 黄昏ホテル ページ2
「ホテル……ハァハァ、ぜんっぜん……ハァ、見えないんですけどぉぉーーー!!!」
矢印の方向に向かったはずなのに、広がる景色は変わらず地平線のみ。
「ホテルは!絶対に……!あるはずなんだーーー!!!」
叫び散らすものの虚しくも叫んだ言葉は消えて行く。あぁ、いと哀しきかな……。
はぁ、とため息をついて、何となく左側を向いてみる。
「え、あれ……??」
気づかなかったのか、それとも急に現れたのか、そこには大きな洋館が建っていた。
存在感の大きいこの建物に気づかなかったとは信じ難い。
とはいえ、急に現れたというのもおかしな話だ。
「これが、さっきの看板に書いてあったホテル??」
何か、見覚えのある感覚だ。どこかで見たのかな?
とりあえず、ドアの取っ手をとり、中に入る。
「……え」
ドアを開けて最初に目に映ったのは建物の中。……ではなくて、大きな体をした、炎頭の人だった。
「なんだ……??私は夢を見ているのか??」
無言で頬をつねる。
いや普通に痛いわこの野郎。
「ようこそ、黄昏ホテルへ」
「うっわ喋ったぁぁぁ!!なんか!炎の人が話した?うわ、え、うわぁ!?」
かなり大きい声を出した自信がある。だって建物の中に響いたのだ。しまったやりすぎた。
「すみませんつい取り乱しました。あのー、私家に帰りたいんですけど……。ここ、何処です??」
「ここは黄泉と現実の狭間の世界……。お客様は」
「えぇ!?狭間ァ……!?え?もしかして私死にかけてるか死んでるってこと?お釈迦様になってる系なの?どうか天国に行けますように!って言うか、生きてますように!!!」
炎頭の人がなにかを言おうとしていたにも関わらず、私は驚きを隠しもせずにまた叫び散らす。いやだってそこ注目すべきだよね??話は早急に聞いといた方がいいところだよね??
「阿鳥君。この子任せてもいいかな??ちょっと説明出来ないよ……」
「えぇ、そうやって面倒事押し付けないでくださいよ……。」
小声で何やら炎頭の人が奥の方にいたイケメンな人を呼んで、話し合い的なのをし始めたようだ。えぇ、あいつ気持ち悪いとか言ってそうで怖いんですけど……。
なんて考えていたら話は終わったらしく、イケメンな男の人が来た。
「お客様の担当になりました。阿鳥です。説明は部屋に向かう最中お話しますので」
「あ、はい」
私の記憶が戻るまで……
あと20分___。
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作者名:依月 | 作成日時:2018年2月17日 22時