第六話 ページ7
【夢主side】
｢…といったところで、私は何をすればいいんですか？｣
そう。
私は審神者という職業に就いたわけだが、実際何をするのか知らなかったりする。
｢はあ。｣
盛大なため息。
｢あのですね、ただ勉強と遊びに明け暮れていた世間のことを何にも知らない高校生がですよ。いきなり審神者になれって言われてなんかわかるかって話ですよ。｣
｢まあ、たしかにそうですけど…。」
と少年。
「てことでいろいろ聞きたいことはあるんですけど、まず、なぜここに平安時代のような空間が広がっているのか、教えてもらえます？」
なんだかんだいってやみくもになっていたこの疑問をまずはひっぱりだしてくる。
「それはね、私たちが三条という、平安時代の刀工の刀派の刀の刀剣男士だからだよ。」
この問いに答えたのは烏帽子をかぶった優しそうな人。
｢まあ、要するに爺さ。だから、我らが生まれた時代の服装が我らの戦闘服であったりするのだ。｣
「ほぉ。三条って京の都の地名ですよね？それじゃあ、四条とか、五条の刀がいたりもするんですか？」
奈良時代や平安時代では、都から近いところを一条、そして、一番遠いところを九条といった。
いってみれば、私たちの郵便番号と同じようなものだ。
私たちの使う郵便番号も、東京から近いところでは１から始まり、遠くなれば９から始まったりする。
｢いることはいますよ？けれど、近づかないことにこしたことはないかと。｣
｢どうして？｣
小狐丸さんがいつにもなく真剣な表情で言う。
｢お主は忘れたのか？｣
今度は短髪の人。
｢ここはブラック本丸といわれる本丸だ。人間により、危機に侵された本丸。この本丸にはまだまだ沢山の刀剣男士たちがいる。我ら三条はお主にかすかな希望を抱いてはおるが、この本丸にはお主を殺そうとする人間のほうが多い。｣
「それでも！」
私は叫んだ。
｢私は、やれることをやるためにこのお話を受けました。私がここに来た理由はただ一つ。」
ただの高校生がなぜこんな重要な職に就くことを決めるのにいちいち理由を付けるだろうか。
私なら付けない。
付ける人もいるだろう。
けど、私は付けない人間だ。
｢神様を危険な目にあわせた人間なんていなければいい。そして、私が苦しんでいる神様を苦しみから救いだせる人間なのだったら、やれることをやろうというただのちっぽけな正義感と好奇心に従ったからです。｣
私はなさけなくなって、思わず笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛羅♪(プロフ) - 夜桜 野風さん» コメントありがとうございます！私も同情する審神者はあまり好きじゃないです。正直にお答えいただきたいんですけど…。同情、しちゃってますかね？一度読者様に聞いてみたいことだったのでお答え頂けるととても嬉しいです！ (2018年3月18日 16時) (
レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - 痛みは怪我してるその子しか味わえないのによくある審神者が「いたかったね」って言ってる同情パティーン正直嫌いなんですけど…これは大好きです!応援してます! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - あ、これ好みです。(唐突)夢主さんヤバイですね…(色々と)他のと違って良いです!! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅♪(プロフ) - 琴葵さん» ありがとうございます。一回訂正してみますね。更新頑張ります！ (2018年1月16日 14時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 更新お疲れ様です！審判者…あながち間違ってはおりませんが、刀剣乱舞の世界での主は審神者と書いてさにわ、と呼ばれております。一度訂正してはいかがでしょう。審判者ですと色々と意味が違ってきますので…ストーリー展開面白いと思います！更新頑張ってください。 (2018年1月16日 8時) (レス) id: 905678d174 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
