第三十八話 ページ40
【堀川side】
｢…｣
すとっという音とともに、僕達の部屋の障子が開いた。
そこにはその端正な顔を少し歪ませた兼さんの姿が。
兼さん…。
あんなに堂々と出て言ったのに…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
さかのぼること数十分前。
｢なあ、国広｣
｢どうしたの？兼さん｣
大広間から戻ってきた僕達。
兼さんは部屋に入るなり僕に声をかけた。
しかし、その声と表情は何かを思いつめているようだった。
それはさっきの加州さんとあのこのやり取りのことを考えているから。
小さくて、純粋無垢な漆黒の瞳をして、真っ黒で艶やかな長髪をした女の子。
しかし、その目は丸くなく中世的な形をしていて、あの子を女の子ではなく、一人の女に仕立て上げていた。
つまり、年にしては大人びた容姿をしていた。
だから、僕は、彼女の口からあふれ出した言葉と声に驚いた。
あの鈴のような少女のように幼い声が、僕達を打ちのめした。
あの駄々をこねるように叫んだ真っすぐな欲望が、僕達に課題を与えた。
この状況に僕達は、どう対応すればいいのか。
兼さんの考えていることはこのことだ。
｢お前は、あの少女をどう見る？｣
｢そうだね…｣
僕はどういうべきか少し考える。
兼さんがその空色の瞳を僕にさすように向ける。
兼さんが誰かにその瞳を向けるとき、それは兼さんが真剣に考えられた意見を求めている時だ。
｢すごく純粋な子。
何に対しても。
けど…｣
言い始めてから気付いた。
何もかもに純粋な子。
けれど、それは利点でもあり、欠点でもある。
｢それは、欠点だとも思う。｣
僕ははっきりとその可能性の指摘は…
｢欠点は何だ？｣
兼さんが求めてる。
｢自分が生きるためなら、何でも切り捨てられるところ。
――土方さんにはなかった、純粋さだよ。｣
兼さんが目を見開いた。
言うつもりはなかったけど、少し怖くなってしまったのだ。
――兼さんが何の根拠もなくあの子を主として認めた時のことを。
兼さんは、
「わーったよ」
片手を額にあてた。
｢つまり、自分が死にそうな時には俺らだって犠牲にできるってことだな｣
｢…かもね｣
兼さんは、僕が指摘できなかった可能性をはっきりと指摘した。
やっぱ兼さんはすごいや。
兼さんはおもむろに立ち上がり、羽織をはおった。
｢兼さん？｣
呼びかけると、兼さんはいつもの自身に充ち溢れた笑みを浮かべた。
｢いっちょ、やってやろうじゃないか｣
と意気揚々に出ていったのだった。
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愛羅♪(プロフ) - 夜桜 野風さん» コメントありがとうございます！私も同情する審神者はあまり好きじゃないです。正直にお答えいただきたいんですけど…。同情、しちゃってますかね？一度読者様に聞いてみたいことだったのでお答え頂けるととても嬉しいです！ (2018年3月18日 16時) (
レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - 痛みは怪我してるその子しか味わえないのによくある審神者が「いたかったね」って言ってる同情パティーン正直嫌いなんですけど…これは大好きです!応援してます! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - あ、これ好みです。(唐突)夢主さんヤバイですね…(色々と)他のと違って良いです!! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅♪(プロフ) - 琴葵さん» ありがとうございます。一回訂正してみますね。更新頑張ります！ (2018年1月16日 14時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 更新お疲れ様です！審判者…あながち間違ってはおりませんが、刀剣乱舞の世界での主は審神者と書いてさにわ、と呼ばれております。一度訂正してはいかがでしょう。審判者ですと色々と意味が違ってきますので…ストーリー展開面白いと思います！更新頑張ってください。 (2018年1月16日 8時) (レス) id: 905678d174 (このIDを非表示/違反報告)
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