第三十五話 ページ37
【夢主side】
｢…もう、もとの世界に帰ることは、できないと思いますから。」
私はそう言い、少し笑った。
事実だから。
きっと、もう変えられない事実だから。
それは覚悟できてる。
ここで一生を過ごすって。
｢そっか｣
加州さんは納得したように一言そう言った。
その口元にはやわらかい笑みが現れていた。
「なんで笑ってるんですか？」
私は加州さんに問う。
だって、薬研君が言ってたもん。
――そいつら全員が前の審神者に、つまり人間に恨みやらそんな感情を抱いている
――お前の命を狙うやつがうじゃうじゃといるってことだ
ていうことは、笑うっていうことは私をいつでも殺せるってわかってほくそ笑んだってことじゃないんですか？
じゃあ、何でそんなに優しく笑うのですか？
加州さんは意外そうに眼を開いた。
そして少し考えた後、
「だってさ」
と私を真っすぐ見て言った。
どうして彼はそんな真っすぐ私を見れるのだろう。
どうして彼はそんな邪気の全くない瞳で私を見れるのだろう。
「元の世界に戻れないってことはずっとここにいてくれるってことでしょ？」
加州さんはさらに輝くような真っすぐな笑みでほほ笑んだ。
｢っていうことはさ、俺らの“主”になってくれるってことでしょ？」
｢…主…？｣
｢そう、主。｣
あるじ
この三音にはとてつもない温かさと重さが込められている。
｢俺らはさ。
今や使える主がいない浪士とおんなじような立場にいるの。｣
加州さんは自身の右側においていた本体をとる。
｢自分がだれのために刀を振るうか分かってないのに自分には刀しかない。
俺らはそんな浪士みたいだよ、刀剣の付喪神といえどもね｣
そうか。
刀剣男士
刀剣の付喪神が審神者という超能力者により励起され、人の身と超人的な剣技を得た戦士であり、武士。
自分が何者なのかを証明し、自分を形作るのは自身の刀を振るう目的と自身に与えられた逸話と自身が宿る本体。
しかし、今ここにいる刀剣男士にあるものは自身の逸話と本体。
｢まあ、浪士たってむやみやたらに刀を振るってるって訳じゃないよ？
俺が知っている浪士はみんなちゃんと目的を持っていたし、俺の元主も浪士だったけどちゃんと目的を持って刀を、俺らを振るっていた。｣
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愛羅♪(プロフ) - 夜桜 野風さん» コメントありがとうございます！私も同情する審神者はあまり好きじゃないです。正直にお答えいただきたいんですけど…。同情、しちゃってますかね？一度読者様に聞いてみたいことだったのでお答え頂けるととても嬉しいです！ (2018年3月18日 16時) (
レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - 痛みは怪我してるその子しか味わえないのによくある審神者が「いたかったね」って言ってる同情パティーン正直嫌いなんですけど…これは大好きです!応援してます! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - あ、これ好みです。(唐突)夢主さんヤバイですね…(色々と)他のと違って良いです!! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅♪(プロフ) - 琴葵さん» ありがとうございます。一回訂正してみますね。更新頑張ります！ (2018年1月16日 14時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 更新お疲れ様です！審判者…あながち間違ってはおりませんが、刀剣乱舞の世界での主は審神者と書いてさにわ、と呼ばれております。一度訂正してはいかがでしょう。審判者ですと色々と意味が違ってきますので…ストーリー展開面白いと思います！更新頑張ってください。 (2018年1月16日 8時) (レス) id: 905678d174 (このIDを非表示/違反報告)
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