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第十三話 ページ14

【鶴丸side】
「どうだ!驚いたか!」

そう畳の下から飛び出してお決まりの台詞で決める俺。

しかし、そこはいつもとは違う空気が流れていた。

俺の目の前にいるのは、見かけない女、というよりも少女といったところだろうか。

知性を秘めた丸っこくはない瞳、つややかな黒髪、そして、潤った唇。

可愛いというより美人。

そんな少女が俺の前で固まっていた。

そうだ。

これが俺が今までほしかったリアクションだ。

しかし、この少女。

政府の使い物か。

本当に。

政府に構われないといけないほど俺たちはやわじゃないっていうのに。

けれど、この少女。

どうしてお前はそんなに純粋な目で俺を見るんだ。

吸い込まれそうなほど深く漆黒の瞳をしているというのに。

あの女とは正反対の目の輝きに、俺も固まった。

これが、純粋な人間の瞳か。

そう言えばそうだったな。

俺をうった五条国永もこんな純粋な瞳をしていた気がする。

長いこと忘れ去っていた。

もう一度…

いや、まだ信用はできない。

それでも…

「前のここの審神者は、何をしたんですか?」

そう聞く彼女を信じてみたいと思った。

「お主…!」

三日月が殺気を発し始めたのを気付いていないのか無視しているのか。

興味深くて面白い。

俺はそんなものが大好きだ。

長らく感じなかった好き、という感情。

俺はそれが今さら湧きあがってきたのに思わず笑った。

いいだろう。

それを話した時の君の表情が気になる。

「あのさ…」

俺は彼女にこれから話すことについての確認を取って話を始めた。

途中、無表情になってしまったのは驚いたが、人間にはそんな驚き方があるなんて驚きだ。

引くほど、驚いた時にそうなるらしい。

引くほど、とはどんなものか、また彼女に聞いてみよう。

俺は、話しているうちにもうすべて吐露すると決めた。

きっと、止められない。

彼女はすべて聞きたいと思っているだろうしな。

「…これでいいか?」

俺は話したいだけ話した。

隣で驚いているのも、大粒の涙を流しているのも一切気にしないで。

しばらくの間の間、彼女は「はい」と一つだけ返事をした。

どうせ同情を…

そう思っていたのに

次の言葉は、

「それでは、ここにいるのはあなた方6振り、ということでいいんですね?」

だった。

「ああ」

無情

それが一番当てはまる事務的な声だった。

でも俺は、そっちのほうが好きだと思った。

審神者殺しの俺が、人間を好きになるとは。

こりゃ驚きだ

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愛羅♪(プロフ) - 夜桜 野風さん» コメントありがとうございます!私も同情する審神者はあまり好きじゃないです。正直にお答えいただきたいんですけど…。同情、しちゃってますかね?一度読者様に聞いてみたいことだったのでお答え頂けるととても嬉しいです! (2018年3月18日 16時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - 痛みは怪我してるその子しか味わえないのによくある審神者が「いたかったね」って言ってる同情パティーン正直嫌いなんですけど…これは大好きです!応援してます! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 野風 - あ、これ好みです。(唐突)夢主さんヤバイですね…(色々と)他のと違って良いです!! (2018年3月18日 10時) (レス) id: b4813fd3d3 (このIDを非表示/違反報告)
愛羅♪(プロフ) - 琴葵さん» ありがとうございます。一回訂正してみますね。更新頑張ります! (2018年1月16日 14時) (レス) id: 79571655d4 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 更新お疲れ様です!審判者…あながち間違ってはおりませんが、刀剣乱舞の世界での主は審神者と書いてさにわ、と呼ばれております。一度訂正してはいかがでしょう。審判者ですと色々と意味が違ってきますので…ストーリー展開面白いと思います!更新頑張ってください。 (2018年1月16日 8時) (レス) id: 905678d174 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:愛羅♪ | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2018年1月14日 0時

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