忘れられた記憶の先に (ページ1)

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〜記憶のない少女の始まり〜ページ1

辺りは一面の火

走っても走っても同じ景色

少女は泣く

幸せなんていらないから

ここから解放してほしいなんて頼まないから

父と母を返して欲しい

少女は空に光る月に願った

そこで少女の記憶は消えた

〜貧民街の路地〜

少女は目を覚ました

「ここは､､､､､？」

少女は何も分からない

何も知らない

「私の名前は？どこに住んでたっけ？」

全てがリセットした少女

身につけている物は元は上質な生地だったであろうが擦り切れているノースリーブワンピ

少女は少ししてから

ワンピースのポケットに何か入っているのに気づいた

ルナへ月に願って

しわくちゃな紙の切れ端に書かれたルナという名前、どこか懐かしいような気がする。

私はルナなのだろうか。

とりあえず少女はルナと名乗ることにした。

ルナは近くにある家の下働きとして働かせてもらった

その家は優しい商家の家

ルナはある日旦那様と奥様のお部屋に近づいた

「あの子、意外といいお家の子女じゃないかしら？」

「あぁ、あの子に恩を売ったら家に利益が出る。優しく接してやろう。」

ルナはすぐに逃げた

優しい旦那様の裏の顔には何か、何かがあるように思えたからだ。

物音でもたてて気づかれたのだろうか

後ろから怒号が聞こえる

あれが優しいかった旦那様の使者だと思うと、裏切られた悲しさが込み上げてしまう。

どこをどう逃げたのか分からないけど

ルナは願う。月に、

「怜に会わせて、」

怜が誰かも知らない。

けどそう思ってしまう。

願いに応じるかのように

月がﾎﾟｩと光った