恋路は二人で歩きたい2 ytyb

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やぶくんの家の扉を開けると、中から掃除機をかけている音が聞こえてきた

信じられないほんとに掃除してる

リビングの方へと進むと部屋着のままだるそうにこたつの周りで掃除機を動かすやぶくん

こちらに気づいたようで手元のスイッチを押すと静かになる部屋の中

「ただいま。掃除やる気になったんだ」

なんだかちょっとトゲのある言い方になってしまった

「あ、うん。さっきひかるが来て怒られた」

ばつが悪そうに頭をかくやぶくんを横目に買ってきた夕飯の材料を冷蔵庫へと移す

再びブォーンと掃除機の音がし始めた


ひかるさんの言う通りガツンとやぶくんに言ってやらないといけないけど効果がありそうな言葉が思いつかない

みかんを残して全て冷蔵庫に入れ、みかんは赤いネットに入ったままダイニングテーブルの上に置いた

窓に目をやると相変わらず閉めきっていたので開けると新鮮な空気が流れ込んでくる

「ガツンと、ね」

網戸越しに外を眺めながら漏れた声は掃除機の音にかき消された




「終わったー」

ぐいーんと伸びをするようにやぶくんが両手を上に突き上げる

あれから散らかっていたこたつの上も片付けて、キレイさっぱりいい気分

「ちゃんとこの状態をキープしてね」

いざ言おうとしたら全然ガツンと言えない

ひかるさんが言ってたみたいに、これ以上酷くなったら別れるって言おうとも思ったけれど

別れるという言葉を口にするのがなんだか嫌でやめた

「がんばる」

と頷いたやぶくんはちょっと子供みたい


「みかん食べよう」

やぶくんがちょっとばかしまともな人間に近づいたのでテーブルの上に置いておいたみかんを手にとってやぶくんにちらつかせる

「買ってきてくれたんだ。ごめんね」

「謝るくらいだったら次からは自分で買ってきてくださーい」

ちょっと嫌味を込めて言うと、もう一度ごめんと謝られた

ひかるさん、これでガツンと言ったということでいいですか？


ガタンと音をたてながらやぶくんがはダイニングテーブルの椅子に座った

てっきりキレイになったこたつで食べるもんだと思っていたから拍子抜け


「こたつで食べないの？」

「一回入ったら出てくる自信ない」


座ってこっちを見ながら苦笑いするやぶくん

もういっそのこと、こたつを片付けちゃおうかな

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