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「会えなかったから今日早く来たの?」
「うん。寂しいかなーと思って」

「誰が?」
「やぶくんが」

「俺が寂しがってると思ったからこんな朝早く来た、と」
「うん」

「自分で言うな」


軽く頭を小突くと、フフフと笑い声

こんな朝早くから来たのには何かふかーい理由があるのかと思って、話を聞くなり、慰めるなりして大人の余裕を見せつけてやろうと思っていたのに

大したことなかった


「朝起きたら隣に人がいるって何か嬉しいでしょ?」


首を回して顔をこっちに向けたゆうと
そんなに目をキラキラさせないでほしい

「そうか? 身に覚えの無い人が隣にいたら怖いわ」
「ねー、なんでさっきから他人な感じ出してくるの? 距離置かないでよ」


さらに拗ねさせようとイジワルでわざと冷たい態度を取ってみた

すると、言葉と表情は拗ねてる感を漂わせながら、いそいそとこちらに近づいてきて

ガバッという効果音が聞こえてきそうな勢いで抱きついてくる

「ちょ、苦しい、苦しいから。どいて」
「むーりー」


朝から布団でドタバタする男二人

どけっ!
イヤだ
を繰り返す

結局体力の無いおじさんは戦いに負け、気づいたら腹の上に跨がられ、満面の笑みのゆうとに見下ろされる始末

「重いんだけど」


そう文句を言ってもどこ吹く風で、

「寂しかった?」


と首を傾げる


寝た状態でゆうとの顔を見上げるのはそれなりに見慣れているはずだが、


やっぱり

かっこいいってズルいよね


「さみしく、なくもなかった。たぶん」
「え? どっち? なくもないってことは寂しいってことだよね? ねぇ、ねぇ、」

駄々こねる子供みたいにどっち? と繰り返し身体を重ねるように倒れてくる


「お腹すいた」
「朝ごはん食べる?」

「うん」
「分かった」


話逸らし作戦が成功し、ごろんと俺の上からベッドの上に落ちたゆうと


「おはよう」


ニコニコなゆうとに少しだけドキッとする

不意打ちの笑顔にはいつまでたっても慣れない


「おはよう」


確かに一人で朝を迎えるより、誰かが隣に居てくれた方が幸せなのかもしれないな




「やっぱり二度寝させて。早すぎるわ」
「ええっ! 寝るの?」

「うん。おやすみー」
「えー、じゃあ俺も寝よっかな。やぶくん、おやすみ」



昨日の夜は一人で寂しかったけれど、

今は……



まぁ、欲を言えばもう少しこっちに寄ってきてくれないかな


なんて、素直に言えたら苦労しないよね

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名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時

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