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“二人の記念日”
やぶくんと俺と二人の記念日

その言葉の響きに胸が高鳴る単純な俺


「あの、」

「なに? やりたいことあった?」

「さっきのホテルに泊まりたかった」

ぴたりと足を止めてこっちを見たやぶくん

いい感じに顔に街灯が当たって表情がよく見える


「早く言えよ」

目尻を下げて笑うその笑顔はやぶくんによく似合う


「戻るか」

「待って、今日はもういいよ。もうおうちすぐそこじゃん」

元来た道の方へ振り返り歩き出すのを慌てて引き留めた

自分から言ってなんだけど、あと5分ほどでマンションに着くから戻るのはめんどくさい


「やぶくんの家に泊まろう」

「いいのか? わがままだとか思ってない?」

「うん、思ってない」

「じゃあまた今度だな」

わしゃわしゃと雑に頭を撫でられてまた家の方へと歩き出したやぶくんの後を追った




「いっそのこと旅行とか行く?」

「旅行?」

「そう。ゆうとが春休みの間に。今まで行ったこと無いじゃん」


こういう流れになるのなら、たまにはかっこつけないでわがまま言うのも悪くないかもしれない


「嬉しそうだな」

「やぶくんだって」



1年前はこんな未来想像もしてなかったな

実を言うとやぶくんと付き合えるとは思ってなかった


10才も年上のやぶくんはとても遠い存在で、当たって砕けろ精神で告白したのに、意外にも付き合うことになっちゃって

夢かと思った


それから恋人らしくなるまでに時間はかかったけど、やぶくんと幸せな日々を送れて、あの時告白してよかったと、心の底からそう思う


「好き」

「相変わらず唐突だな」


ちょっと照れたようにこっちを見てくるので、抱き締めてキスしたい衝動に駆られる

ぴたりと足を止めたやぶくんは、軽く息を吸い込んで


「俺も好き」


と呟く


こんな良いタイミングで街灯が無くて顔が見えにくいのがなんとも惜しい



「抱き締めたい」

「それはダメだな」



外でのデートなんて月一回あるかないかだけど、人目を気にしないおうちデートも悪くない




「キスしたい」

「それはもっとダメだな」



普通のカップルよりマイペースかもしれないけど、これが二人にとっては丁度良いペース



「じゃあ、手繋ぎたい」


ふふっと目を細めて笑う姿は
やっぱり大好き



「今日だけ特別な」




繋いだその手を離さないように


恋路は二人で歩きたい




ーおわりー

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名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時

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