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「初めてやぶくんのこと抱き締めたときも後ろからだったんだけど、覚えてる？」
「んー、あんまり覚えてない」
まだやぶくんと心を通わせることに必死だった頃、ようやく触れた瞬間ということで俺的には結構大事だったのになー
「でも、仕事で疲れてるとき、玄関で抱き締められたのは覚えてる」
もちろん、俺はそれも覚えてる
少しだったけど初めてやぶくんが甘えてくれて、幸せだった
「なんか、あの時俺、すごい安心した」
そう言ってやぶくんは鏡に写る自分を見るのが恥ずかしいのか、うつむいてしまった
そんなほんのり赤い頬にもう一度口付けをした
「さむい」
隣でぎゅっと肩をすくめるやぶくん
予想通り夜は寒くてジャケットだけじゃ物足りない
「コート着て」
いつのまにか俺が持っていたやぶくんのコートを差し出して代わりに鞄を預かる
歩道の真ん中で立ち止まりいそいそとコートを羽織り、ありがとうと鞄を受け取った
「料理おいしかったな」
「うん、そうだね」
予約しておいたディナーは高いだけあってさすがに美味しかった
高級な雰囲気にのまれて、料理を口にするまでそわそわしてしまい、正直緊張でコースの一番最初の料理はあんまり覚えてないけど
食べ終えた後はホテルに泊まるなどという話は一切上がらず、普通に帰宅の一途
ちょっと寂しいような、
泊まりたいって言えばよかった
「なんかごめんね。俺何にも用意してなくて」
ちょっと申し訳なさそうな顔でこっちを見てくる
「別に大丈夫だよ」
元々やぶくんにはあんまり期待してなかったし
だから今回のサプライズを計画したわけで、
「何か欲しいものとかやりたいことあったら言って。ゆうとばっかり頑張ってるのはよくないから」
いつも俺にお金を出させるのを嫌がるから、今回もせめて割り勘なんて言ってくるかと思った
けれど、1度だけ本当にいいの？ と確認されただけでどっちが払うということで揉めることはなかった
きっとかっこつけたい俺の気持ちを汲み取って面子を守ってくれたんだろうけど、やっぱり後ろめたい気持ちはあるらしい
「俺こういう記念日とか苦手だからさ、気の利いたこと用意できないけど、二人の記念日なんだから俺もゆうとが喜ぶことしてあげたい」
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名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します！凄く素敵でした！ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…！ (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し84745号 | 作成日時：2019年2月3日 23時
