恋路は二人で歩きたい2 ytyb

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「これ着て」

前もってやぶくんの家のクローゼットから発掘しておいたおめかしセットを渡す

一応大人だけあってそういう服は一式持っていたから助かった

「こんなのよく探してきたな」

髭剃り片手に感心しつつ若干引いてる


さっきこれからの予定を説明すると意外にもあっさり準備を始めてくれた

もっとめんどくさいとごねるかと思ったのに
予約してるなら行くしかないだろって

これからデートする時は毎回予約したって言おうかな

「髪の毛やってあげるから着替えたらここ座って」

ダイニングテーブルから持ってきた椅子を鏡の前に置いてやぶくんを待つ

こんなの持ってたっけ？ と呟きながら用意しておいた少し青みがかったシャツに腕を通す姿をまじまじと見てると鏡越しに目が合った

「なに？」

「いや、早くズボンも履いてほしいなーって」

「目がえろい」

「パンツ一丁でウロウロする方が悪いと思いまーす」

その気がなくてもその気にさせちゃうんだから
そういうのを誘惑って言うんだよ

「はいはい」

呆れたように返事をしたやぶくんは手早くスラックスも身につけて椅子に座った

なぜだか付き合いはじめの頃から着替える時は恥ずかしがらないんだよね

日によっちゃキスしただけで照れるときもあるのに、俺の前で着替えることには特に抵抗は無いらしい

線引きが謎すぎる



「終わり？」

椅子に座ったやぶくんがこっちを見上げてくる
やぶくんの髪型をセットしはじめて20分弱

まぁ、なんということでしょう

さっきまで寝癖がついて寝間着姿だったやぶくんは、襟つきシャツに寒いからと途中でカーディガンを羽織り、全体的にふんわりを意識している髪型に、横髪は耳にかけられて、

「かわいい」

ついつい心の声が漏れちゃうほどに見違えちゃいました

ちなみに、セットの仕方はちょっと前にたかきさんから聞いてきた

中々上手くいったと思う
あとで写真送っとこ


中腰になり後ろから椅子ごと抱き締めると、やぶくんの方から頬をすり寄せてくる

その頬に口付けをすると、お返しに同じような軽い口付けをしてくれたをしてくれた

その後、自然と視線が絡まる

ああ、キスするな

この1年で学んだ、言葉では形容できないそういう雰囲気


触れた唇は、初めて重ねた時から変わらない

柔らかくて、暖かい


唇が離れて、チラリとやぶくんが視線を向けた先には

鏡に写る二人

そこに写っているやぶくんと目が合うと


「恥ずかしい」


耳のすぐそばで小さな声がした

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