2 ページ29
隣の隣のやぶくんの家
1年前はすごくドキドキしながらその短い道のりを歩いたのを思い出す
今日は堂々と晴れやかな気持ちだ
今更だけど、やぶくんは今日が記念日だと知っているのだろうか？
しばらく押していなかったインターホンを久しぶりに押す
ちょっと間をおき、やぶくんが怪訝そうな顔をしながら扉の隙間から覗かせた
「なに？ どうしたの？」
これは多分インターホンをならしたことに対する疑問
いつもずかずかと入り込んでるくせに
今更何？ って顔してる
そして俺を足の爪先から頭のてっぺんまでじーっと見てまた一言
「ほんとにどうしたの？」
不思議そうなやぶくんにとりあえず入って、と中へと通された
「今日なんの日でしょうか？」
「今日？ わからん」
一瞬首をひねったが即答で知らないと言うやぶくん
やっぱり、記念日とかどうでもいいタイプなのね
「もっとちゃんと考えてよ」
「えー、んーと」
真剣な顔して考えているけどなかなか答えは出ない
「もういい、答えは、付き合った記念日です！」
ここで時間を食うわけにはいかないので答えを言う
答えを聞くととやぶくんは『あ、忘れてた』みたいな顔する
または
ちょっと照れたように『そうだった』と小さな声で言う、そう思ってた
だけど実際は
「は？ 記念日は明日だろ？」
と斜め上どころじゃない発言をした
一応やぶくんが記念日を意識してくれているという嬉しさと、間違って覚えているという微妙に悲しい事実に複雑な気分
「違うよ、今日だよ」
「今日3月の何日？」
疑ってるやぶくんに今日の日付を伝えたら
「ほら、明日だろ」
って、何がほら、だよ
「俺が告白したのは1年前の今日なの！」
「え、嘘だー。明日だよ」
「わかった、今さらどっちでも良いけど今から行くとこあるからやぶくん着替えて」
「ほんとに今日？ まじかー、ごめん」
申し訳なさそうな顔をしているけど、記念日っていう概念があっただけで上出来だと思う
ちょっと腑に落ちない様子のやぶくんを支度させるために洗面所に向かった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します！凄く素敵でした！ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…！ (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し84745号 | 作成日時：2019年2月3日 23時
