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「覚悟できたらキスしてよ。前にした覚悟を上書きするくらいのキスして。それができないんだったら、別れよう」
どんな形であれ自分から別れようって言う日が来るとは思ってもいなかった
でも、見ている方向が違っているなんて耐えられない
いつから流れているのか分からない涙が頬を伝う
やぶくんは難しい顔しながら泣かないように耐えているみたい
大変な選択を迫っていることは分かってる
こんなこと言っておきながら、今後別れない保証なんてどこにもない
でも、一緒にいる未来を二人で想像できないんだったら、恋人でいる意味が無いと思うんだ
少しの沈黙の後、やぶくんはおもむろに手を伸ばしてきた
左手を俺の右の頬を包むように添える
親指で涙を拭われると、代わりにやぶくんの目からぽとりと一粒落ちた
「この先10年、20年経って、俺がゆうとに縋って生きてるようなどうしようもないおっさんになっても文句言うなよ」
やぶくんらしい不器用で分かりにくい言葉
その言葉に首を縦に振って答えると
「大好き」
そう言って泣きながら笑うやぶくん
目を閉じてゆっくりと顔を近づけてくる
その光景があまりにもゆっくりに見えて、待ちきれなかった俺は、自分から唇を寄せにいった
「え、まだ飲むの？ 今何時か分かってる？」
「まだ、2時過ぎだろ。せっかく買ってきたんだから」
こたつの上の残ったお酒に手を伸ばそうとするやぶくんを止めると不服そう
「ダメです。明日っていうか、今日の夜飲んだらいいじゃん」
「じゃあ、寝る」
渋々、俺の膝の上から立ち上がろうとするやぶくんの腰をつかんで引き留める
「寝ちゃうの？ やらない？」
「やらない。それこそ何時だと思ってんだ。終わる頃にはもう、朝じゃん」
自分のことは棚に上げてイヤだイヤだと繰り返す
「朝までコース、たまにはいいじゃん」
ほら、覚悟を決めて
わざとらしくやぶくんの身体を撫で回す
「ちょっと待て、とりあえずベッド行こう。やるかやらないかはそれから考える」
あら、今回は覚悟を決めるのは中々難しいみたい
決まったらまたキスしてもらおうかな
できないなら、朝一のコースに変更だね
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名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです！ (2019年4月13日 12時) (
レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します！凄く素敵でした！ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…！ (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し84745号 | 作成日時：2019年2月3日 23時
