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やぶくんが結婚って口にしただけで、目にじわりと涙が溜まった

体育座りのままじっとこっちを見てるやぶくんは顔色ひとつ変えない

そういうとこは大人はずるい


「それでも、好きだから、俺が幸せにしてあげたいと思った。やぶくんのこと、大好きだから」


涙が頬を伝う

さすがのやぶくんも困り顔

それでも、前に泣いた時みたいに、泣き顔を隠そうとは思わなかった

これでやぶくんへの気持ちの本気度が伝わるのなら、いくらだって泣いてやる


しばらくすると、ひとつ溜め息をついたやぶくんが近づいてきて寝間着の袖で涙を拭ってくれた

「ごめんね。泣かせるつもりはなかった。俺の話まだ途中だから、最後まで聞いてくれる?」

そう言って涙を拭ってくれていた左手を差し出してきた

手を繋げってことかな

でも、これ以上やぶくんの本音を聞くのが正直怖い

躊躇っていると

悪い話じゃないからって言われたのでその言葉を信じて差し出された手のひらに自分の手のひらを重ねた


「最初にキスしたときのこと覚えてる?」

やぶくんは繋がれてない方の手で俺の背中をさすりながら、ゆっくり喋り始めた

覚えているに決まってる

やぶくんとの忘れられない思い出トップ3には絶対に入ってる出来事だから


「あの時、覚悟した。いつか絶対やってくる別れる時のこと覚悟した。ゆうとにとっていい別れ方しようって決めた。ひどいでしょ? ゆうとの大切なファーストキスなのにさ、その相手の俺が別れること前提でしか二人の関係を考えることができなかった」


繋がれた手を見ながら話を聞いていたら、途中から言葉を詰まらせるように喋るから顔を上げると、少し涙目で奥歯を噛み締めて泣くのを我慢してるように見えるやぶくんがいた


泣きそうになってるとこ初めて見た

自分を落ち着かせるように深呼吸を2、3回繰り返してまた口を開く


「怖かったんだよね。付き合うことでゆうとの大切な時間の一部を俺が背負うことになる。自信がなかった。無駄な時間を過ごさせてしまうんじゃないかって。でも、ずっと待っててくれてるゆうとの気持ちには応えたかった。だからあの時、別れる未来を想定した。ずっと一緒の未来なんて重すぎて背負いきれなかった」

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名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時

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