恋路は二人で歩きたい2 ytyb

5 ページ23

「思ってる。ゆうとは俺なんかと付き合うべきじゃないって。もっとふさわしい人がいるって思ってる」

ソファの上で膝を抱えてこっちを向いて、ちゃんと俺の目を見てやぶくんはそう言った

それが本心だと真っ向から宣言され、泣きたくなった


俺の方から告白して、初めは無理矢理っぽい感じだったけど付き合うようになって、次第にやぶくんが心を開いてくれて、やっと同じ気持ちになれた時は嬉しいなんて言葉じゃ表せないくらい幸せだった

それから一気にキョリは縮まって、言葉を重ねて、身体を重ねて、二人で同じ方を向いて進んでいると思ってた

やぶくんと一緒の未来が待っている路をゆっくりだけど、二人で歩いているってそう思ってた


「ゆうとの幸せを思って、ゆうとに他に好きな人ができたら潔く身を引く。そうやって、最後までちゃんと大人として振る舞いたい」

頭ではやぶくんの言ってることは理解できるけど、気持ちが追い付かない

俺の幸せって何？
やぶくんと一緒にいることが幸せだよ
好きなんだから

潔く身を引くことが大人なの？
身を引くってことは、やぶくんは俺のこと好きなんでしょ？

他に好きな人できたらって、じゃあ他に好きな人作らなきゃいいの？
そんなの作るつもりなんて全く無い

やぶくん以外の可能性なんて考えたこともない


意味わかんないよ

何でこのタイミングでこの話をしてきたのかも
お互い好きなのに別れる時の話をしてるのも
今までこの本音を言ってくれなかった理由も

なにもかも意味がわからない


「全部、全部、やぶくんが勝手に思ってることじゃん。俺にとっての幸せはやぶくんのこと以外に考えられないし、同年代の人と付き合ってた方がいいって、それこそやぶくんだってその方がいい」


俺も考えたことが無いわけではない

年が10歳も離れていたら価値観も、人生の中で置かれている状況も全然違う

方や、一人でも生きていけるほどにお金も社会的な立場もある人

方や、未成年で学生で金もなく未熟で親に守られている人


そういう二人が付き合うとなったら負担が大きいのは前者の方だ

上の人が下に降りてくるのは簡単だけど、下の人が上に昇るのは難しい

だからやぶくんには俺に目線の高さを合わせてもらうことが必要で、そうしてくれるおかげで俺は好き放題できた


「やぶくんは、結婚していてもおかしくない年齢。俺と付き合ってなかったら今頃結婚してうたかもしれない。もっと、もっと、幸せだったかもしれない」

6→←4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す