2月の覚悟 ページ19
バイト終わり
灯りのついていない暗い家に帰ってきた
朝に今日は帰らないからと両親が言っていたことを思い出し、家の中に誰もいないことに納得
その状況を良いことにシャワーだけで風呂を済ませ、大急ぎで髪の毛を乾かし
いざ、やぶくんの家へとレッツゴー
さすがにやぶくんのところでお風呂までお世話になるわけにはいかない
水道代も電気代もばかにならないから
鍵と財布とスマホだけ持ちサンダルを履いて外に出るとめちゃくちゃ寒い
すぐそこまでとはいえ、上下スエットのみというのは失敗だった
家の鍵を閉めて、そそくさと隣の隣のやぶくんの家へ
ドアノブに手をかけると
ゴンッと鈍い音がして開かない
鍵をかけているなんて珍しい
寒いから早く暖かいところに入りたいのに、なんで今日に限って真面目なのさ
足踏みしながらキーホルダーにかかっている二本の鍵のうちさっき使わなかった方を手に取り鍵穴に入れる
カチャリと開いた音がして、今度こそと勢いよく開けたら
ガシャーンと金属音がして少しだけドアが開いた
チェーンまでかかってるの?
まさかもう寝た?
さっき帰ってきたとき確認したら電気ついてたのに
「やぶくーん」
ドアの隙間から部屋の中を覗いている姿は端から見たら完全に不審者
奥のリビングの方から明かりが漏れているので起きてると思うんだけどなー
マンションの上の方なので時折強めの風が吹く
まじで寒い
このままやぶくん出てこなかったら一人で家に帰るしかないじゃん
電話してみようかな
そう思ってると、待ちに待ったやぶくんがひょこっと出てきた
よかった、一人の寂しい夜は回避できそう
「来るなら来るって言えよ」
迷惑そうな感じを醸し出してるけど表情は嬉しそう
素直じゃない
「早く開けてー。凍え死ぬ」
早く早くと急かしたら、必死だなと苦笑いされ一旦ドアがバタンと閉まる
チェーンを外した音が聞こえたので
ようやく扉が全て開かれた
「あったかー」
「鍵閉めてきてね」
やぶくんはこっちに背を向けて家の中へと戻っていく
冷たい
やっぱり寝てたのかな
その割には寝起きっぽくなかったけど
考えている時間がもったいないので急いで鍵とチェーンをかけ、やぶくんの後を追った
87人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時