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「夕飯?」
「うん」
「遅くない?」


不思議そうにしているゆうとに

そうか? ととぼけて誤魔化し、ボタンを押して三階にいるエレベーターを呼び寄せる


「バイトお疲れ」
「うん、ありがとう」


ホント疲れたよーと両手を上げてゆうとが伸びをしたタイミングで目の前で銀色の扉が開く

この時間なので下りてきた人もなく無人のエレベーターに乗り込んで行き先の階数の数字を押す

ゆうとも隣に並ぶようにして乗り込んできた
扉が閉まり、上へと上がっていく感覚
少しの浮遊感

すると左の人差し指をきゅっとにぎられた

となりを見るとなぜだか得意気な表情をしているゆうと

指1本握ったくらいでいい気になるとは、まだまだである


軽く握り返してやると一旦離れた後、普通に繋ぎ直してきた

自分とあまり変わらない大きさの手
胸の内に広がるのは安心感

10歳も年下のやつに思うのは変なのかもしれないが、俺が頑張って守らなくてもいいんだなと気が緩む
頬も緩む

スンッとエレベーターの動きが止まり扉が開く
手を離そうかと思ったが

夜だし、
誰とも会わないだろうし、
家まであと少しだし、

と言い訳をしてそのままゆうとの手を引いてエレベーターから出た

3つドアの前を通りすぎるとゆうとの家

「じゃあ、おやすみ」


たぶん明日は来てくれるから少し物足りないけど今日はここで終わり

顔見れてよかった

そう思って俺は繋いだ手を緩めたが、ゆうとは


「おやすみ」


と口ではそう言いながら手を離してくれない

それに加えてさみしそうな犬みたいな目をしてくる

その目を向けるのはやめてほしい
無下にあしらえないからついつい甘くなってしまう

告白されたときもその目に負けた


「ちょっとだけな」


今回もあっさり負けて再度手を握り直すと、やったと喜んだ声が背後から聞こえてきた

3→←11月の惜別



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名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時

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