[鯨人]かたまりこれくしょん[短編集] (ページ1)

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▽ 学級委員くんの闇ページ1

▽ コント「十七歳」

「木田君…何してるんだろ…」

クラスメイトで学級委員の木田君、今は体育の授業中なのだが…足を挫いたクラスメイトの星野君を保健室に運びに行ったっきり帰って来ないのだ。

先生に言われて私が様子を見てくる事になったのだが保健室に行っても居なかったし、と思って少し急ぎ足で教室を覗きに行く事にした。

男子が着替えるのは私達のクラスの隣の教室なのだが…

「あれ、いない…教室に忘れ物かなあ」

そして自教室の扉の窓を覗くと、教卓の上に女の子が…いや、あれは…

「ききき、木田君！？」

木田「…！！！！！」

ピチピチな女子制服を見に纏った木田君は私の声にすごく驚いた様子で、教卓から転げ落ちるように降りて凄い剣幕でこちらに歩いてくる。

こちらもこちらで驚いてしまって思考回路がこんがらがってしまっていたのだが、逃げなきゃ！と思った時には既に遅くて左手首を強く掴まれてしまった。

そのまま木田君の方に引かれて教室の中に無理矢理入れられる形になってしまい、木田君は急いで扉を閉めた。

「ひっ…」

木田「Aさん…いつからそこにいたの」

「い、いいい、今…！ていうか、その…制服…」

木田「…誰にも言わないで」

マジの眼差しにこちらが身震いしてしまう。

ていうか、

「誰の制服なの…？」

木田「…みな、ｺﾞﾎﾝｯ、羽多野さん」

「へぇ！木田君って羽多野さんの事好きだったんだね、その…制服着るレベルで」

何も言わず静かに頷く木田君。

その表情はまさに恋をしている表情で、なんだか意外だし甘酸っぱいなぁ…と思った。…格好を除いて。

そういえば、と私が来た理由を話そうとした時、廊下からこちらに走ってくる足音が聞こえてきた。

「…木田君、誰かこっちに向かってきてるよ！」

木田「えっ、こ、これ以上見られる訳には…Aさん、ちょっとこっち来て！」

「へ、」

私にも巻き込まれ被害が及びそうだな、と思っていると掴まれたままだった手首が更に引かれて掃除用具入れに突っ込まれる。

…って言うより、木田君が先に入って私が扉側に居るのと、声を出させない様にか塞がれた口と暴れない様にか回された腕のせいで後ろから抱き締められている形になってしまっている。

これは非常にマズイ。

木田君は多分無自覚でやっているのだろう、だがしかし！私は異性に異常な程免疫が無い。

こんな状態で耐えれる訳もない。心臓が不自然な勢いで鳴り響く。

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