【FGO×ヒロアカ】転生したら個性が天の鎖だった

エルキドゥ(偽)が誘拐された話 ページ17

やあやあ皆、お久しぶり。なんだか３ヶ月くらい久し振りな気がしなくもないけど…、まあ、そこはそれ。置いておこうか。


　今、僕は恐らく誘拐されている。誘拐、なんて心穏やかなものではない。

それでもこうしてゆったり構えて居られるのは、偏にエルキドゥスペックのお陰だ。



(さて…、このまま救助を待つのも良いけど、母さん達に迷惑はかけられない)



　寂れた廃工場。隙間から入る日の色はオレンジ。きっと今は夕暮れ時だ。日の位置が見れなくて心許ないけども、5時近くだと推理してみる。
　下校したときは３時だから、二時間近く経ってる。こりゃあ大事になっているかもしれない。


　これ以上両親に心配をかけるのもイヤだし、さっさと此処を制圧して帰ろう。



──エルキドゥのスキル『気配感知A++』を発動。

　この廃工場の内装や、実行犯を探し出す。



(敵は一カ所に集まってる。敵は五人、危険もあまり無さそうだ。
　…あれ、一人がこちらに向かってくる)



　スキルを使わずとも、こちらに近づいてくる靴音が聞こえる。

　どうしようか、ちょうどいい実験体がこちらへ向かって来るんだし、対人戦の力加減を覚えるいい機会かもしれない。



「ったく、何で俺がわざわざ…」



　悪態を付く成人男性の声。体を鍛えているようだが、重心の置き方が無茶苦茶だ。武の心得は無いと見える。

　此方へ来るまで、3…



──ジャック•ザ•リッパーの宝具『暗黒霧都(ザ•ミスト)』を発動。

　18世紀末のロンドンを騒がせた殺人鬼、切り裂きジャックの宝具。毒の効果は落としてあるが、部屋の中は、 霧に満ちて、数センチ先も認識できないほどだろう。



　2…


──アサシンのクラススキル『気配遮断E』を発動。

　スキルなどを発動するとき、ランクが高いほど魔力を吸い取られるらしく、あまりポコポコと使えない。僕が成長したらどうかはわからないけどね。けど、暗黒霧都との合わせ技。一般人にはこの程度で充分だ。



　1…


──ナイチンゲールのスキル『人体理解A』を発動。

　人体の構造を理解するこのスキルは、どこが急所か。どこを狙えば人は確実にオチるか。どうすれば長く持つか。

　力加減を覚えるまではどうか耐えてほしい、と切に思う。痛覚を落とすと何が痛いかが分からないので、痛かったら叫んでほしい。



　0…


「大人しくしてね。──痛みは、生命活動の証だから」



────


9時に投稿するといったな。
あれは嘘だ。

エルキドゥ(偽)が誘拐された話2→←エルキドゥ(偽)の日常が非日常になる話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す