･ ページ8
.
しばらく帰ってこない洸希を待ちながら、
また、グラウンドを眺めていた。
でも、
「 A？ 」
この声によって、中断した。
後ろを振り向けば、
どこかで見たような顔が、
廊下から私を見ていた。
『 あ、朝のベンチで寝てた人？ 』
「 ふふ、俺の事忘れちゃった？ 」
『 は？ 』
「 俺だよ？ 」
コテっと首を傾げる姿は、
カッコイイの中にかわいいがあった。
それはどこかで見たような仕草だった。
『 ぇ、 』
思い出した。
小さい頃、隣に住んでた男の子。
『 ひょま、？ 』
彪馬「 そ、やっと思い出してくれたー。 」
嬉しそうにクシャと笑うその表情も面影があった。
可愛らしく笑うあの時の。
『 ぇ、じゃあまた隣に引っ越してきたのも、
彪馬？ 』
彪馬「 そー！ 」
『 え、ホント？ 』
彪馬「 うん、ほんと。 」
『 嘘じゃない？ 』
彪馬「 うん、嘘じゃない。 」
私が何度質問しても、
うん、と頷く彪馬。
私より少し小さかった彪馬の背は、
頭一個分くらい高くて、
高かった声も少し低くて。
でも、くらっと笑う顔は、今も変わらなくて。
バッと両腕を横に伸ばした彪馬を
疑問に思いながら、
私も真似をした。
ふわっと彪馬の匂いが鼻をかすめ、
ぎゅっとされる感覚に、
抱きしめられてることに気づいた。
彪馬「 ただいまー、A。 」
『 おかえり、彪馬。 』
彪馬の体温は、少し高くて、
温かく感じた。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あおそらまめ | 作成日時：2019年7月25日 0時
