５０.好きだから ページ5
世間はきっと私たちのことを間違っていると否定するのだろう。
事実、兄弟同士の恋愛なんて認められていないし、結婚だってできない。
所謂、負け組。
この禁忌を犯すだけで私たちは世間の晒し者だ。
それが、どんな英雄であっても関係ない。禁忌を犯すだけでゲームオーバーになってしまう社会。
それを否定する気はさらさらないし、間違っているとは思わない。
そんな世間体を気にするのは普通のことなのだろう。
だからこそ、私は焦凍から逃げて…この気持ちを封印しようとしたのだ。
私が焦凍の足枷になってはならない。
ずっと、そんな無駄な理由を自分に言い聞かせて。
バカだな、私は。
そんなことしたって、諦められるはずがないのに。
誰も認めてくれない。
味方なんて誰もいない。
それでも、君は好きだと言ってくれるんだね。
世間なんて関係ない。
ただ、�犢イ�だから�瓩修譴世韻里海函�
本当にバカだ。
答えは単純だったけれど、踏み出す勇気は私には無かった。
それが、踏み出していい一歩だったかはまだ分からないけれど、焦凍となら。
『ばーか。本当にバカだよ』
自分も頭がおかしくなってしまったのかもしれない。
兄弟同士でもいいじゃないか。そんなことを思ってしまうなんて。
『私たちの行こうとしている道は険しいんだよ？』
「あぁ」
『誰も味方なんてしてくれないかも』
「あぁ」
『引き返せないんだよ？』
「もう、黙れ。大丈夫だから。俺が…守ってやる」
『はは、そう…だよなぁ』
そうか。
大丈夫なんだ。
未だに、抱きしめられている身体は温かくて冷たい心を溶かしていくようで。
『焦凍、好きだよ』
「あぁ、俺も。好きだ」
そっと、唇と唇が触れ合っての優しいキス。
初めてのキスはレモンの味というけれど、どんな味かなんてよく分からなくて。
ただ、分かるのは甘酸っぱい感覚があるってだけ。
不意に、
「おい、A。俺のとこのヒーローに挨拶しろ」
と、部屋の外から聞こえてきた父の声。
そういえば、父は仕事仲間と飲み中だった。
急な事で慌てていると、焦凍がいたずらっ子のように笑って私たちを隠すように布団を被せた。
一人用の狭い布団に二人も入るのだから密着していて凄く暑い。
少しして、襖が開く音が聞こえ、
「寝ているのか？……ふん、まぁいいだろう」
と言いながら父は去っていく。
「良かったな」
その言葉に安心してコクリと頷いた。
あぁ、この時がずっと続けばいいのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おつきみ(プロフ) - moeさん» ありがとうございます！！そう言ってもらえるととても嬉しいです！！これからもよろしくお願いしますm(__)m (2018年4月21日 17時) (
レス) id: 927d00d57e (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - この作品、大好きです、 (2018年4月21日 11時) (レス) id: 32c275f53e (このIDを非表示/違反報告)
、 - 実在する人物、団体、アニメキャラ等を扱う二次創作になりますのでオリジナルフラグ外して下さい。違反行為で違反報告の対象になります (2018年3月26日 6時) (レス) id: 104648a3e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おつきみ | 作成日時：2018年3月26日 1時
