↓ ページ3
「…それで、授業にまで付いてきてくれればいいんだがなぁ」
「授業って、退屈なんやもん」
「こら」
ぺしっと軽くゾムくんの頭にチョップし、「そういうこと言わないの」と叱る。
先生は、そんな私達の様子を見て、
「花宮からも授業に出るように言ってやってくれないか?」
と、分かりきった答えの質問をした。
他の先生からも言われることのあるその質問…お願いにゾムくんの方をチラッと見て、
「…先生、私。…ゾムくんの自由なところが好きなんです」
訳:ゾムくんの自由にしてあげてください。
と、微笑む。
その答えに先生は苦笑いをして「自由…か」と呟く。
「まぁ、学校に来て、時々、授業に出て来てくれてるだけでも良しとするべきなのか…」
「…先生は先生の立場で、叱らないとですよ」
「え!?」
「どっちの味方なん!?」と肩を掴んで揺らして来るゾムくんに、「んーだって、授業には出て来て欲しいもん」と笑う。
ずっと、後ろの席に誰も居ないのは少しだけ寂しいのだ。
絶対、伝えないけど。
「はは、緑山。良い彼女を見つけたな。別れるなよ〜」
「……ひひ、当たり前やろ」
そういうところ。
私がゾムくんの隣にいることが当たり前。そんな風に、私と同じ気持ちであることが、すごく嬉しい。
職員室、来て良かった。なんて思いつつ、ゾムくんの方を向けば、とても嬉しそうな彼。
「よし、んじゃ、ホッチキスのある場所は分かるな?…これ、よろしく頼んだぞ」
「はい、分かりました」
「終わったら、教室置いといていいからな」
「はい」
コピーされたプリントを手渡されて、受け取り、元気よく頷く。
「緑山も、手伝ってやれよ〜」
「分かってますって〜」
そんなやりとりを行う先生とゾムくんに、自然とにやける。
ゾムくんが、先生と話しているところなんて見たことなかったけど、案外、楽しそうで良かったと心底思った。
パチッとホッチキスで止める音が教室内に響く。
机をくっつけて、二人で分担しながら仕事をして数分。隣には、ずっと、ニコニコ状態のゾムくん。
頰、緩みきってるよ。
「……嬉しそうだね」
ホッチキスを置いて、ゾムくんの頰をつんつんと突けば、「Aのおかげ」と、私の方を向くゾムくん。
277人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - ゆうなさん» 感想ありがとうございます!!文才が足りないところも多々ありますが、頑張ります!(笑) (2021年2月22日 20時) (レス) id: 3ca37bb3dd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 続編…!!!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、、、ゾムがイケメンだ、イケメンだぁぁぁぁぁっっ!!!そして夢主も可愛いっっっ!!ぁぁぁぁぁぁあぁあ、話が面白すぎる!そしてめっちゃ癒されます…てかもうにやけ顔が収まらんww これからも頑張ってください!!! (2021年2月18日 4時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - RURUさん» 続編の方にも、感想ありがとうございます!続編も頑張りますね! (2021年1月23日 16時) (レス) id: 1f912309a9 (このIDを非表示/違反報告)
RURU - すき焼き…(訳:続編も最高です) (2021年1月14日 16時) (レス) id: 4226f6833e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見 | 作成日時:2021年1月13日 23時