にじゅうに ページ23
及川徹side
「でもあなたたちのプレーを見ていて、もう一度バレーに触れたくなりました」
Aくんは試合が始まってからずっと、どこか思いつめたような顔をしていた
つい誘っちゃったけど、ダメだったかも……と思ってた。大好きだったものに心折られる気持ちは、痛いほどよくわかる。
国見ちゃんと喧嘩し始めた時はどうなることかと思ったけど、心配いらなかったみたいだ
「おい泣くなって！」
「泣いてねぇよ！」
初めて会った時からどこかつかめない印象だったけど、こうやってポロポロと溢れてくる彼の
「よし！じゃあ、Aくんは思いっきりプレーしようか！！」
「えっ、及川さん！？今の話聞いてましたか！？」
「聞いてたよー、金田一」
「そうだなぁ、まずは楽しんでバレーしようぜ？」
「俺らを信じてみなよ」
Aくんの目が大きく開かれる
俺の言葉に続いてまっつんや金田一も声を掛ける
国見ちゃんは向こうで怒られてるかもしれない。でも、こういうお互いに言い合うことがなかったのかもしれない
だから、よかったとも思う
「ね、Aくん」
「……俺、わがままですよ？」
「先輩に任せろって」
「そうだぞ。金田一もなんか言ってやれ」
「お、大船に乗った気で」
「じじいか」
金田一のよくわからないボケにツッコむと「真剣ですってば！」と返ってきた
今にも泣きそうな、それでいてどこか吹っ切れた様子のA間を見据える
「もう辞めようと思ってたのに……… あなたたちのせいですからね。責任、取ってください」
「お前こそ喰らい付いてこい」
「はい……！！」
さっきまで暗かったAくんの顔が、少し明るくなったような気がした
彼自身にとって清算するものはたくさんあるだろうけど、俺らが何度だって助けてあげるよ
「じゃあ、そんな手のかかるAくんはどんなトスがお好みかな？」
「俺の好みは少しネットに近い高めのトスです。まぁ、どんなトスでも打ちますけど」
「フフン、まっかせなさーい！」
どんなトスでも打つ、かぁ
いいね、生意気
「試合止めてしまい、すみませんでした！」
「よし、続き始めよっか！」
「「はい！！」」
バレーを嫌いになりかけていたAくんが、またバレーに触れるきっかけに俺らがなれたなら嬉しい
なんて、ちょっと気持ち悪いかな
「改めてよろしくお願いします！！」
「「「おう！！」」」
「まぁ、俺が英に負けるわけないんですけどね」
「お前、いい感じだったんだからやめとけって」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 404人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はつね(プロフ) - 男主かな？めっちゃ面白い！ (2020年10月24日 7時) (
レス) id: d82ff4a995 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なバカ - 英との関係とかすごく良いと思いました。面白いです。これからも更新頑張って下さい。 (2020年4月12日 22時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
ぜる - ツインズカワヨイ...。読みやすくて、今は誰が話しているかとても分かりやすかったです。 (2020年4月12日 17時) (レス) id: 725efa7c46 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 誰がなにを言ってるかわかりにくいので、カッコの前に名前書いて欲しいです。 (2020年1月3日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宮 | 作成日時：2020年1月2日 3時
