にじゅういち ページ22
試合は進み16対11
俺らが負けている
このゲームは1セットマッチだからもう終盤だ
ﾄｯ
松川さんのフェイントでボールがコートに落ちる
今ので16対12
「ナイスです」
「ナイスです！」
「いぇーい」
ちゃんとハイタッチをしてくれるあたり優しい先輩だ
金田一くんもだけど、みんなレベルが高い
対して俺は？
何をしている？
いつまでも足踏み状態か？
………いやいや、これでいいんだ
と考えているとまたしても英が向こうから話しかけていた
「お前、本気出してないだろ」
「………やだなぁ、ちゃんと出してるよ」
嘘だ
ほんとはもっと跳べる
ほんとはもっと決められる
もっと綺麗にボールをセッターに返せるし、もっとコースを絞れる
「攻撃がワンパターンなんだよ」
「そんなに俺のこと見てたの？」
「ふーん……… ずっと"僕バレーできないんです"って被害者ヅラしてれば？」
「は？」
何言ってんだコイツ
馬鹿にしてんの？
俺は英の胸元に掴みかかる
「お前さ、何を期待してんの？うまく見せようなんて初めっから考えてねぇんだよ！！」
俺が怒鳴ったことで先輩たちの目がこっちを向く
しかし、今は気にしてられない
「俺のやることに口出しすんな！！」
「お前のそういうところだよ！！」
「おい、国見やめろ」
岩泉さんの静止が入るも止まらない
いや、止まる気はない
「俺お前の試合何回か見に行ってる」
「！」
「お前、プレーするの怖くなったんだろ！試合中によくチームメイトと衝突してたもんな！？」
「……」
「やめろって」
「お前は！！ほんと逃げてばっかだ！！！」
先輩方が止めに入るが英も俺に掴みかかり怒鳴る
今にも殴り合いが始まりそうな俺たちを先輩たちが引き離す
.
「Aくん、大丈夫？」
「ずっと顔引きつってるぞ」
「…」
「無理して、」
「俺は負けたんです」
「え？」
二人に少し被せ気味だったが、俺は話を続ける
何言ってんだろ、俺
英に「怖くなったんだろ」って言われて図星だった。フラッシュバックかのように今でも独りになった瞬間を鮮明に思い出せる。
「俺は、自分に負けたんです。チームプレーが怖くなって、逃げたんです」
「うん」
「自分の嫌いなことから目を背けて、いっそみんなが俺のことなんて気にも留ないでいてくれたらって」
「うん」
「どうしようもない気持ちになって、でも、英や他の奴らが俺より前を歩くのが悔しくて」
「うん」
「でもあなたたちのプレーを見ていて、もう一度だけバレーに触れたくなりました」
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はつね(プロフ) - 男主かな？めっちゃ面白い！ (2020年10月24日 7時) (
レス) id: d82ff4a995 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なバカ - 英との関係とかすごく良いと思いました。面白いです。これからも更新頑張って下さい。 (2020年4月12日 22時) (レス) id: 9900cccf42 (このIDを非表示/違反報告)
ぜる - ツインズカワヨイ...。読みやすくて、今は誰が話しているかとても分かりやすかったです。 (2020年4月12日 17時) (レス) id: 725efa7c46 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 誰がなにを言ってるかわかりにくいので、カッコの前に名前書いて欲しいです。 (2020年1月3日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮 | 作成日時：2020年1月2日 3時
