タバコください！【d!】 (ページ3)

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「高橋さ～ん、ごめん！トイレ行ってくる！」

「はあい」

20時3分、いつも通り佐藤さんはトイレに。
思ったけど、佐藤さんて20時になったらトイレに行きたくなる呪いでもかかってんのかな、それとも病気……？

佐藤さんに限ってサボってるわけじゃないと思うしなあ。

「……いらっしゃいませ」

昨日の長身細身丸メガネ206番さんが来た。

今更なのだが、昨日の時点で脚立やらなんやらで取ればよかったのだ。

1人でタバコすら取れない店員はどこにもいない。

と猛省しているうちに、目の前には206番さん。

「昨日の、おねがい」

なんてちょっとバカにしたにやけ顔で言うもんだから、意気揚々と脚立を取って206番を取った。

ふふん、これでいいだろう。

このキャスとやらが欲しかったんだろう！

なんて得意顔でレジに持っていく。

「こちらでお間違い無いでしょうか？」

「覚えててくれてた！取れたんだね、たばこ」

けたけた笑うな。

「……年齢確認ボタンタッチの方お願いします」

「高橋さんって、いくつなの？」

……？なんで名前知ってるんだ？？
あ、名札か。

「袋はご利用になりますか？」

「見た目めっちゃ若いよね！」

無視をするな！

「1枚3円になります」

「袋いらないよ！？」

言わなかった206番さんが悪いんだ。
店員さんの話は聞くものなんだぞ、と。

「あ、笑った。かわいい」

、え。
開いた口元を隠すように右手で塞ぐ。

「ブスーっとしてる顔より笑った方が可愛いよ」

「あ、俺ここら辺に住んでないからたまにしか会えないよ～？神出鬼没だからね～！俺のタバコの銘柄！覚えておいて！」

また、嫌味を言われた。なにが、神出鬼没だ。なんでここら辺に住んでないくせにこのコンビニにきたんだ。
昨日の印象強すぎて206番さんで覚えてるよ、もう。

なんて言いたいことは沢山あったけど、206番さんはいなくて。また昨日と同じように自動ドア越しに背中を睨みつけることしか出来なかった。