黒蝶の夢・参【不死川実弥】 (ページ25)

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その後、不死川は黒羽と食事をすませ

「不死川さん、会計。」

「…クソガキ、」

不本意ながらもいつものように黒羽に奢り、蝶屋敷の方へと歩き出す。

屋敷へと戻る道中、不死川は何やら頭を悩ませている様子で

「(何であんな事、言っちまったンだァ…)」

先程の言動を振り返ると同時に、不死川は静かに黒羽の方へと視線を移し

「(コイツが…誰と飯行こうが、俺には関係な___)」

そんな事を思い掛けた時だった。

視線に気づいた黒羽が、不死川の方へと目を向けて

「不死川さん、やっぱりアンタって…ドMですよね。」

「自ら奢られにいくなんて、もうそうとしか思えませんよ。あそこで声掛けなければ、無駄に金使う必要なかったってのに…」

そんな言葉を投げ掛けながらも、黒羽は何処か機嫌の良さそうな様子で

「てっきりアンタは…仕方なく私に連れられて、食事に付き合ってるものだと思ってたんですけど……意外とそうでもなかったんですね。」

「また…アンタから誘ってくれるの、待ってます。」

ふっと笑みを溢しながら、不死川に対してそう告げる。

「……、…____」

対する不死川は、黒羽に一瞬目を向けた後

「…おう、」

そっぽを向きながら、呟くようにしてそう一言返した。

それから二人は、蝶屋敷の前へと辿り着き

「あ…そうだ、薬欲しいんでしたっけ。」

「少し待ってて下さい、取ってくるんで。___」

黒羽はそう言って、不死川に背を向け一旦屋敷の中へと入っていく。

黒羽が屋敷に戻り、数分…数十分が経過した所で

「(アイツ…遅ェなァ、何かあっ___)」

なかなか戻らない黒羽を不審に思い、不死川が屋敷の戸に手を掛けた時だった。

ガラッと音を立て、戸が開いたかと思うと

「待たせてすみませんね、少々探すのに時間がかかりまして…どうぞ、追加分の薬です。」

黒羽が不死川のもとへと戻り、取ってきた薬を不死川へと手渡す。

「ありがとなァ」

不死川がそう言って、薬を受け取る中

「……、」

黒羽は少しの沈黙の後、口を開いたかと思えば

「アンタは…身体、大事にして下さいね。」

突如、そんな言葉を不死川へと投げ掛け

「…？」

対する不死川は、不思議そうな表情を浮かべながらも

「おう」と一言返し、黒羽に背を向け蝶屋敷を後にした。