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『……、』



そう告げる家主に対して、黒羽は少しの沈黙の後



『あなたは…私達の事をよく見ているんですね。』



淡々とした口調で、家主の言葉にそう返し



対する家主は、穏やかな口調で『ええ』と返した後



『私からこの様な頼みをするのは…大変恐れ多い事ではありますが…、』



『今後とも…不死川様のお側に居てあげて下さい。』



丁寧に頭を下げながら、そんな頼みを黒羽へと託した。

















「___まァ、その頼みというのも…一時的なものでしかないですけどね。」



家主と交わした会話を思い出しながら、そう呟いた後



黒羽は先程運ばれてきた団子を手に取り、口へと運ぶ。



胡蝶は黒羽の方へと目を向けて、



「誰かに頼まれでもしないと…側に居られないだなんて、あなたは案外…不器用な所があるんですね。」



同じく団子を手に取りながら、そんな言葉を黒羽へと投げ掛ける。



「師範…その言い方だと、私が本当は不死川さんの側に居たいみたいじゃないですか…。」



胡蝶の言葉を聞き、黒羽が不満げな視線を向ける中



「違いました?」



胡蝶はニコニコと笑顔を浮かべながら、黒羽に対して言葉を返す。



「……、」



その後、胡蝶は手に取った団子を一旦皿へと戻し



「あなたは…本当は私でなく、彼の継子になりたかったのでは…?」



呟くようにして、そんな問いを黒羽へと投げ掛け



「…、…____」



対する黒羽は団子を口へと含み、喉を鳴らした後



「いえ、それは無いです。」



すぐさま口を開き、胡蝶の言葉を否定したかと思えば



「…師範、よく考えてみて下さいよ。仮にあの人の継子になりでもしたら、毎日顔合わせて寝食も共にしなきゃいけない訳でしょう。」



「はっきり言って地獄ですよ、地獄。精神的ストレス溜まりまくり。…それにあの人、今まで一度も継子取った事ないですよね。」



「不死川さんはおそらく、人に何かを教える才はないと思いますよ。脳味噌まで筋肉詰まってますから…要するに馬鹿。」



「馬鹿に教わる事なんて、何一つないでしょう。それにあの人は、____」



黒羽は息をするかのようにして、毒付き始め



その間、胡蝶はポカンとした様子で黒羽の方へと視線を向ける。



「___まァ、そういう訳なんで…私はあの人の継子になりたいと思ったことは一度も無いです。」



「それに…継子として迎えて貰うなら、私はしのぶさんのような賢い人の下につきたいですし。」

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作者名: | 作成日時:2023年11月1日 0時

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