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___某日、任務を終えたカナヲが蝶屋敷へと向かう道中
「あ…カナヲ、!」
聞き覚えのある声が、カナヲの耳へと届き
「た、炭治郎…」
「カナヲ、久しぶり!任務帰りか?…何処か怪我とかしてないか?」
駆け寄って来た炭治郎が、そう言ってカナヲの顔を覗き込む中
「う、うん…大丈夫…。」
カナヲは視線を巡らせながらも、炭治郎に対して言葉を返す。
「そうか、それなら良かった…!」
カナヲの返答を受け、炭治郎は安堵の笑みを浮かべた後
少し離れた所にいる、善逸と伊之助の方へと目を向けて
「俺はこれから善逸と伊之助と任務だから…カナヲ、また後で!…今度一緒にご飯でも行こう!___」
ぶんぶんと勢いよく手を振りながら、炭治郎はその場を後にし、善逸と伊之助のもとへと向かっていく。
「……、」
カナヲは小さく手を振り返した後、任務へと向かう炭治郎の後ろ姿へと目を向けて
「(炭治郎…久しぶりに会えた…。)」
何処か嬉しそうな様子で、そんな事を思っていると
「へぇ…カナヲも案外、隅に置けないね。」
いつの間にか、カナヲのすぐ側には黒羽の姿があり
「特定の男と親しくなるだなんて、今までなかったのに…それでどうなの?あとどのくらいで付き合えそう?」
黒羽は興味本位で、そんな問いをカナヲへと投げ掛ける。
「た、炭治郎とは…べ、別に…そういうのじゃ……」
その言葉を受け、カナヲが動揺した様子でいる中
黒羽は「へぇ…」と返したかと思えば、炭治郎の方へと視線を移し
「(少し…似てる…。)」
朗らかに笑うその横顔に、青年の面影を重ねながら…そんな事を思った後
「カナヲにその気がないなら…私が貰うけど、別にそれでも良___」
目の前のカナヲに対して、言葉を発したその時。
「ダメ…!炭治郎は…絶対、ダメ…!」
カナヲは慌てた様子で、黒羽の言葉を遮ったかと思えば
付け足すようにしてふたたび口を開き
「それに…紫には風柱様がいるから…、浮気だとかは…良くないと思う…。」
その言葉に黒羽は一瞬目を丸くした後、
「…っ」
込み上げる笑いを抑えるようにして、口元を袖で覆い
「え…?紫、なんで笑って……」
カナヲが不思議そうな表情を浮かべる中、黒羽は何とか笑いを抑え
「確かに…浮気は良くないね、…人のモノには手出さないから安心して。___」
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作者名:雫 | 作成日時:2023年11月1日 0時